「すみませーん、銅鐸くださーい」

古墳時代の訪れとともに衰退していった銅鐸文化に、ニギハヤヒ尊を重ねずにいられないのは勝手な希望的観測でしょうか?
ニギハヤヒ尊が鳴らしていた銅鐸なんかが残っていれば、オークションでいくらが付くことか…………

銅鐸といえば39個が出土した島根県雲南市の加茂岩倉遺跡を思い浮かべますが、加茂岩倉の銅鐸は初期のものなのでサイズは小型ばかりです。
ということは、”聞く(鳴らす)銅鐸”として使われていたのでしょう。
加茂岩倉遺跡は、銅剣358本が出土した荒神谷遺跡から直線だと3㎞程度の距離にあります。

加茂岩倉遺跡に次いで出土数が多いのは滋賀県野洲(やす)市の大岩山で、24個が出ています。
こちらは後期のものなのでとにかくデカイです。

デカイので”聞く銅鐸”ではなく、祭祀などに使ったであろう”見る銅鐸”でして、加茂岩倉銅鐸はほとんどが約30㎝~45㎝に対して、大岩山銅鐸は約50㎝~80㎝サイズで、最大のものは実に135㎝もあります。

銅鐸の作り方を説明すると大変なので省きますが、土や石で作ったの鋳型に青銅を流しこんで完成させた銅鐸の薄い箇所は2ミリしかありません。
三角縁神獣鏡などの銅鏡も薄いところは1ミリ程度しかなく、当時の技術力がいかに優れていたかが判ります。
愛知県犬山市の東之宮古墳から出土した三角縁神獣鏡を3Dプリンターで精密に再現したところ、銅鏡は魔鏡だったことが判明しました。
全体が分厚いと魔鏡にはならず、1ミリ技術があったからこそのことらしいです。

さて、以前から思っているんですが、銅鐸が三種(四種か?)の神器に含まれていないことがどうにも気に入りません。
なので銅鐸を書斎に飾りたくてあちこちでレプリカを探していますが、けっこう高いんです。
滋賀県野洲市の銅鐸博物館や出雲の古代出雲歴史博物館ではなかなか魅力的なレプリカ銅鐸を販売していましたが、んー、もっとデカイのが欲しい。

本物が流通した場合、10㎝あたり100万円が相場らしく、40㎝だと400万円。80㎝クラスになると800万円じゃ済まないでしょうから、そんなもん買えるかってこと。8万円なら考えるけど。
そうか、だったら自分で掘ればいいんだ。
我が家から最寄りのJR神領駅近くでも出土してるんです、デカイ銅鐸が2個。

デカイ銅鐸は後期のもので、大きく分けて近畿式と三遠式があります。
三遠とは三河・遠江(とおとおうみ=静岡県西部)でして、言い換えれば東海式ですね。
欲しいのはサザエさんのような飾り耳がある近畿式で、流水紋と呼ばれる紋様のもの。
もし近所で出土しそうな気配があればご一報ください。掘りにいきます。

先日、兵庫県南あわじ市で見つかった7個の銅鐸のうちの1個は紀元前2世紀のものらしく、これまでの最古級です。
古い銅鐸のためサイズは小さく、”聞く銅鐸”だったのでしょう。
銅鐸を鳴らして使用していたころは、特別な時だけ鳴らすのではなく、普段から日常生活の中で仕事の始まりや終わり、食事の時間などを知らせるために銅鐸が使われていたそうです。
まさにチャイムですね。
チャイム掘り、ぜひ挑戦してみたいです。

写真は大岩山で出土した135㎝サザエさん銅鐸のレプリカですけども、銅鐸って元は青銅色じゃなくて銅色なんです。銅の鐸なんだから当たり前ですけども。
2枚目の写真は流水紋です。流れる水の紋様が美しい。

「ここ掘れワンワン」
ハチ、頼むぞ。

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