[骨の妙味 40]

とうとう40回目になりました。
今回は”苦労した手・よく働いた手”についてお話ししようと思います。
指の関節が極端に太くなったり曲がってしまった手、あるいはコブシを握れないほど指全体が腫れぼったくなってしまった手を、”苦労した手”とか”よく働いた手”なんて言いますでしょ。
わりと女性にも多く、そんな手を見るたびに細くスラッとした指に戻してあげたくなります。
技術的にはそれほど難しいことではないんですが、時間がかかるんです。なのでコツをつかみ、ご自分でゆるめればいいです。
テレビを観ている時間とか、お風呂の中でとか、根気よく毎日ゆるめてあげれば、よっぽど酷い状態じゃない限りほっそりスリムな指に戻るはずです。

まず、関節が極端に太くなったり曲がってしまった指ですが、この場合はもう片方の手の親指と人差し指で、太くなった関節(曲がった関節)を表と裏からギュッと押さえます。
ただし、押さえ方にもコツがありまして、親指は指先を使いますが人差し指はクルッと内側に曲げ、指先から2番目の関節を使います。
人差し指を丸めるように曲げると、2番目の関節は親指の先と同じ長さになりますよね。それを利用します。でないと指が疲れて太くなり、ミイラ取りがミイラになってしまいまいますから。

それで、押さえると関節に痛みがある場合はそのままジーッと押さえ続けてください。
もし痛みがなければ、押さえている親指と人差し指はそのままで、押さえられた方の指(太くなったり曲がったりした指)を、ゆっくりと曲げたり伸ばしたりします。
ポイントは押さえる親指と人差し指からは力が抜けないようにして、しっかり押さえ続けることです。

曲げたり伸ばしたりすると、痛みを感じる角度があるはずです。
そしたらその角度に曲げたまましばらく押さえ、痛みが和らいだらまた少し角度を変えてみて、痛みを感じる角度が見つかったら同じようにしばらく押さえ続けます。
また、押さえる親指と人差し指で、ゆるめたい関節を反らすのも効果があります。
指が曲がる方向とは逆向きに反らすんですが、この場合も親指と人差し指はしっかり関節を押さえ続けてください。
ほーら、少しだけ関節が細くなったでしょ。働きすぎた(働かせられすぎた)靭帯も喜んでいることでしょう。
これをプロにやってもらうと毎回お金が必要ですが、自分でやればタダですからね。

仰向けに寝て、仙骨の下に広げた手を敷いても腰の重みで指はゆるみますけど、その場合の床は畳か絨毯がベストです。
板の間やフローリングではちょっと痛いかもしれませんし、布団の上では腰の重みを布団が吸収してしまって、指の関節に負荷がかかりませんので。

あと、椅子に座ってお尻の下に指を敷いてもいいですよ。
お尻のとがった部分、そこを坐骨といいますが、ゆるめたい関節を坐骨で踏みつけるように座るんです。
手のひらは上を向いていても下を向いていてもかまいません。両方やるといいです。
テレビを観たり音楽を聴きながら、長い時間をかけてジワーッとゆるめてください。けっこう気持ちいいと思います。

指全体が腫れたように太く、そして関節も指先もゴツくなってしまった手は相当長年に渡ってお仕事をされたのでしょう。
そんな手はまず関節と関節の間をつなぐミニ筋肉…………本当は筋肉ではなく、筋肉にまで発達してないスジで、それを腱(けん)と呼びます…………からゆるめていきます。
腱をゆるめる場合は指の手のひら側を、もう片方の手の親指で腱を真上から押さえます。
少しゆるんできたら、次は腱を骨から剥がすように横方向から押してあげてください。
親指の先と人差し指の2番目の関節を使い、いろんな角度から腱を骨から剥がすように押したりねじったりすることで、少しずつ指が細くなってきます。

また、クリスチャンが祈るときのように両手の指を交差させ、全体をグルンとひっくり返すと指の腱が伸びますでしょ。
それが指のストレッチなんですが、指の一本一本をもう片方の手で強く握って、ゆっくりじんわりと反らすとさらに腱が伸びます。
これ、ものすごく大切なことで、頭のハタラキにも影響があるんですが、それについてはまたいずれどこかで。

指が細くなってきたら次は関節をゆるめますが、それは先に書いた方法と同じです。
関節の押さえ方、押さえる力加減や角度、腱の剥がし方、指の反らせ方などで判らないこともあるでしょうけど、やってるうちにコツをつかめるはずです。
無理に押したり反らせたりするのではなく、あせらずに根気よく毎日の日課にしていただくと、数週間でほっそりスラーリすっきりスリムな指になると思います。