[骨の妙味 47]

お尻の筋肉についてあれこれとお話ししたいことがあります。そうです、お尻の筋肉です。
5級クラスの場合、腰痛の対処法をどこまでメニューに入れようか悩みどころでしたが、第6期岐阜教室からシンプルにしました。シンプルであり効果的なため、腕の疲れからの腰痛にも腎臓が原因の腰痛にも頭の緊張やストレスによる腰痛にも足の疲れによる腰痛にも婦人系が原因の腰痛にもそれぞれ対処でき、なおかつ施術者はほとんど疲れないため、お尻の筋肉は面白いです。
お尻の筋肉といっても実は複雑でして、わりと有名な大殿筋やあまり有名じゃない中殿筋・小殿筋、ほとんど無名の大腿筋膜張筋や梨状筋などが入りくんでいますが、いちいち筋肉の名前なんぞは憶えなくても大丈夫です。

腰痛の人に腰のどのあたりが痛いかを聞くと、多くの人が「このあたりです」と腰の大部分を手でなぞります。それは聞かなくても判ってますがな。
つまり自分でも腰のどの部分が痛いのかが判っておらず、それを細かく診断すると少々専門的になってしまいますが、どんな腰痛でもある程度は痛みを和らげることができ、なおかつ誰でもできてしまうのがお尻の筋肉をゆるめることです。しかも手を使わずに足のカカトでゆるめるため、施術者は疲れません。壁にもたれかかってテレビを観ながら家族の腰痛を和らげることができてしまうんです。

お尻のどの部分をゆるめるかなんですが、腕の疲れや食べ過ぎ・飲み過ぎによる腎臓の疲れからの腰痛は、腸骨が一番開いている部分=ウエストに近い部分の全体をゆるめます。
ここはカカトが深くまで入り込むため、最初はどこまでゆるめていいのか判らないでしょうけども、相手が痛気持ちいい程度に10分ほどゆるめてみてはどうでしょう。
カカトはお尻にくい込ませたらそのまま静止です。マッサージみたいに動かさないでください。
痛い箇所が腰椎(腰の骨)やその横側の筋肉であっても、お尻のこの部分をゆるめれば楽になるかもしれません。

立ちっぱなしの仕事をしている人もお尻が固くなっていて、女性でもカチカチになっちゃいます。
そんな場合は基本的にお尻の真ん中あたりからゆるめればいいんですが、カカトで固い部分を押してしばらく静止して、ゆるんだら少しだけ位置を移動して同じことをします。うまくゆるめば男っぽいケツから女性のお尻に戻る………はずです。

生理痛や婦人系に問題がある場合は仙骨の縁をカカトで押すんですけども、これはちょっとむつかしいかもしれません。
仙骨と腸骨のつなぎめ=仙腸関節が痛い腰痛はけっこう多く、今までは5級クラスでも仙腸関節を直接ゆるめていましたが今後は4級でやることにして、とにかく仙骨の縁に沿ってをカカトでゆるめてみましょう。
4~5分ほどゆるめただけでも骨盤をゆすると揺れが驚くほどしなやかになり、仙腸関節がゆるんだことも判ります。
特に生理痛の人には効果があるはずですが、仙骨の縁は強く激しい押しかたをしないでください。痛みが出ることがあります。
また、妊婦さんはやらないでください。妊婦さんの仙骨を素人さんが触るのは危険です。

あと、足の疲れからの腰痛はお尻でも足の付け根に近い部分で、股関節の裏側(お尻側)あたりに強い張りがあることが多いです。
そんな場合はお尻のその部分と合わせてモモの裏側の筋肉もゆるめてみると効果的だと思います。
ただしモモの裏側はカカトでゆるめるのではなく、施術者は立ちあがり上からゆっくり踏むようにしてください。憎たらしい旦那さんでもいきなり強く踏むとかなり痛いので、笑顔をとりつくろってゆっくりとね。

整体教室ではカカトを入れる場所や角度、どの程度の力で押すかなどをできるだけ詳しくお伝えしますので、ぜひお役立てください。