ハマス

シリアやウクライナだけでなく、イスラエルまでもが大きな混乱に向かっていますが、イスラエル軍が攻撃目標としているのはハマスです。
ハマス側からは1000発以上のロケット弾がイスラエル国内に撃ち込まれているため、イスラエル軍の動向が理解できないわけではありませんが………

海外旅行において、政治と宗教の話はタブーとされる向きもありますが、冗談じゃない、こちらはその話を聞きに現地まで行っているんで、エジプトでも政治と宗教の話を散々あちこちでしてきました。

驚いたのは、エジプト人(当然イスラム教徒)にイスラム原理主義組織について話をしていて、
・PLO(パレスチナ解放機構、かつての代表はヤセル・アラファト)
・ブラック・セプテンバー(ヤセル・アラファトPLO議長が率いたテロ組織。1972年、ミュンヘンオリンピックで選手村を襲ってイスラエル選手団11人を殺害したのはこの組織。殺害に関わったメンバーは、後にイスラエルの諜報機関モサドに全員が殺されている)
・PFLP(パレスチナ解放人民戦線、かつての代表はショージ・ハバッシュ)
・PDFLP(パレスチナ解放人民民主戦線、かつての代表はナイフ・ハワトメ)
・PFLP-GC(パレスチナ解放人民戦線総司令部、かつての代表はアフメッド・ジブリル)
などの名前を出して、現状を現地の人に聞いていたわけです。
他にもヒズボラ(神の道)やハマスの名前も出しました。

まず彼らの意見は
「お前、日本人のくせにどうしてそんなことに詳しいんだ」
でしたが、次に共通していたのは
「ノーノーノー、ハマスはテロ組織ではない。彼らは多くの難民を助けている」
でした。
これは妙なことをおっしゃる。ハマスがテロ組織ではないとな?

ボクに対して、ハマスを他の原理主義組織と同等に考えることを否定したのは、現地旅行会社の若社長やガイド、カイロ大学の文学博士であり当時は日本のエジプト大使館で文化参事官(大使館で3番目に偉い人)をされていたカラム教授、カイロ大学の女学生等々。

「えー、けど、ハマスだってイスラエルでテロをおこなっていますよ」
「ミスター深田、それは違う。ハマスは断じてテロ組織ではない」
「ええ、そうなんですよ、ミスター深田。あなたは中東問題にお詳しいようですが、ハマスに対する考え方だけは間違っています」
と、まぁこんな調子でした。

イスラエルにロケット弾を撃ち込むハマスにイスラエル軍は攻撃を仕掛け、ハマスはパレスチナ人の支持を得つつ市民を盾にしてイスラエル軍から自分たちの身を守る。
市民とハマスが一緒にいるためイスラエル軍はそこを攻撃して、多くの市民に犠牲が出る。

エジプトへ行った当時からこんなことは続いていたのに、少なくともエジプトの一般市民以上の学歴や収入がある人たちは、口を揃えて「ハマスはテロ組織ではない」と言い切った。
結局、日本にいては中東問題を理解することはできないということ。

そして彼らは全員が、9・11のニューヨークテロはイスラエル政府も絡んでいると確信を持っていた。
確かな情報ではないですが、ヨーロッパでは7割、アメリカでは9割の人がニューヨークテロを政府の自作自演であることの可能性を疑っているらしい。

ぬるま湯につかりきった日本人のメンタリティって、アメリカ政府にとっては都合がいいんでしょうね。
最近の安倍氏の自信に満ちた対応を見てると、このまま日本で暮らすべきかを真剣に悩んでしまう。