「太陽系から受ける重力」

年明け早々にまたバカバカしい話が出回っていたようですね。
意見を求められましたが、あまりにもアホ臭いので遅くなってしまいました。
何でも、1月5日に木星と冥王星が並んで、その影響から地球が無重力状態になるとか、ジャンプすると3秒ぐらい浮いているって話だったんですか?
で、そんな話を信じた人がいたんでしょうか。

もし太陽系の惑星が見事一直線に並んだとしても、太陽や月と影響し合っている地球の重力は、100万分の1とか1000万分の1ぐらいしか変わりはないでしょう。
体重60㎏の人が、0.006グラム~0.06グラム程度減ったところで、身体を軽く感じますか?
トイレへ行って300グラム減ったって、軽くなったとはあまり感じないでしょ。

杉山開知さんの「地球暦」を愛用の人はよくご存じでしょうが、太陽系内で太陽をはさんで2つの惑星が直線に並ぶことは、しょっちゅう起こっています。
今回のデマは、地球と木星と冥王星が並ぶとのことでしたが、木星の向こう側に冥王星があろうが海王星や天王星があろうが、いやいや3つ全部が並ぼうが、地球への影響力は多分ですが何億分の1とか何十億分の1でしょう。

1月5日は太陽から見て95度の範囲に水星・金星・地球・火星・木星・土星・天王星・海王星・冥王星、つまり太陽系の惑星すべてが集まるから、より地球は無重力に近い状態になるのだとか。

へー、地球の質量は変わらないのに、なんで地上に暮らす生物への重力が軽減されるんですかねぇ。
太陽系内のどこにどの星がいようとも、地球が地球中心部へ引き寄せる重力は変わりませんけども。

地球から見て太陽の反対側にすべての惑星が見事一直線に並んだとしましょう。
それであっても地球への影響力は100万分の1とか1000万分の1程度でしかありませんので、だったらスウィーツを1回食べなければ、そのほうが無重力にほんの少しだけ近い状態を味わえるんではないのでしょうか。
それか、水素ガスを入れた風船を身体に縛りつけて歩くとか。

太陽の次に質量が多い木星であっても、地球に対して普段から秩序を乱すような引っ張り方をすることはないので、そこに極めて小さな冥王星が加わっても、何の影響もありません。
もういい加減に「NASAが発表した」系の話に騙されるのを終わりにしてはいかがでしょう。ホントNASAの名前に弱いですもんね。
日本人が考えてるほど、NASAはアメリカで絶対的な地位を得てる訳ではありませんですし。
子供向けでもかまいませんので、宇宙について書かれた本をせめて3冊ぐらい読みますと、程度の低いアホなデマに惑わされずに済みますです、きっと。

μニュートリノ418