よく聞かれる質問の答え その3

アインシュタインの相対性理論は間違っていたのですか?
間違っていたことが証明されたと聞きました。

そうですか。どきどき耳にしますよね、そんな話。

まず、アインシュタインの相対性理論には、1905年に発表された「特殊相対性理論」と、1915年発表の「一般相対性理論」の2種類があります。

そして、“光の理論”とも呼べる「特殊相対性理論」はともかく、「特殊相対性理論」に“重力”を加えた「一般相対性理論」について、物理学界では完璧な理論だなんて考えていません。

実際、極端に短い距離(素粒子の世界)で「一般相対性理論」は破綻しています。
量子力学と相対性理論は相性が悪いんです。

ニュートリノは現在3種類が確認されていますが、第4のニュートリノも存在が示唆されていて、質量は従来の20倍になると考えられています。

もし第4ニュートリノが見つかれば「一般相対性理論」に修正が必要になるそうです。

しかし、だからといって相対性理論が間違っていたと考えるのは大間違いです。

最近は多くの車に装備されているカーナビですが、相対性理論が間違っていれば、自分の位置を正確に知ることはできません。

相対性理論によれば、速く動く物体は速度が速いほど時間の進み方が遅くなります。
ただし、その物体の中にいても気付くわけでなく、静止している人から見ればの話です。
相対的なんです。
だから相対性理論なんです。

GPS衛星はかなり速い速度で移動していますので、地上よりも時計がゆっくり進み、1日に100万分の7秒だけ地上の時計よりも遅れます。

けど相対性理論では重力源に近い場所は、そうでない場所よりも時間はゆっくり進むことになり、GPS衛星よりも地上は地球の重力源に近いので、地上の時計は1日に100万分の46秒だけGPS衛星の時計より遅れます。

この誤差を相殺すると、GPS衛星の時計は地上と比べ、1日に100万分の39秒進むことになるため、GPS衛星の時計にはこの誤差を補正する機能が付いています。

1日にたったの100万分の39秒ですが、もしこの誤差を補正しませんと、地上の位置に大きなズレが出てしまい、その距離はなんと1日で11㎞!
これではカーナビが使えません。

このような計算は、相対性理論が正しいからこそ世の中に役立てられているわけなので、相対性理論の否定は愚かだとしか言い様がありません。

なので、質問の“相対性理論は間違っているのですか?”は、質問自体か正しくなく、相対性理論は正しいけども、あらゆる物理現象を説明できる完璧な理論でもないということ。

以前から感じていたのですが、相対性理論が理解できない人ほど否定したがる傾向にあります。
ボクも理解できていませんが。

それで、間違いが証明されたなんておっしゃるんでしょうが、多分その人よりアインシュタインや世界中の物理学者の方が賢いと思います。

相対性理論は正しいです。
が、当てはまらないこともあるため、今後はさらに改良が加えられるでしょうし、他の理論を用いることもあるでしょう。

それともアレのことを聞いているのかな?
間違いが証明されたというのは。

2011年9月23日にセルン(ヨーロッパ合同原子核研究機構)が発表した、ニュートリノが光の速度を越えたっていうアレ。

すぐに否定されたのは、まだ発表してはいけないことを世の中に出してしまったので、あわてて隠したと思ったんでしょう。
実際に陰謀論も飛び交ってますし、いまだに。

スイスのジュネーブからイタリアのグランサッソまで、730㎞の距離でニュートリノを飛ばす実験をしたら、光の速度(秒速30万㎞)だと0、00243秒かかって届くはずが、それよりも100億分の607秒(0、0000000607秒)も早く着いてしまったんですね、発表では。
けど、撤回されました。

ボクもアレはCIAの陰謀かと思い徹底的に調べました。
東京の日本科学未来館、つくばの高エネルギー加速器研究機構、名古屋の科学館、東北大学のニュートリノ科学研究センター、東京大学の宇宙素粒子研究施設…………

結局、光ケーブルの接触不良が原因で、しっかり接続してから実験をやり直したら、やっぱり光の速度は越えていなかったと。
つまり、接触不良の箇所で何かのロスがあったのだとか。

それに、ニュートリノ検出器の精度にも問題があったようで、ホントお騒がせして申し訳ありませんでした。

次の質問は、
3・11の地震と津波は、地球深部探査船「ちきゅう」号が犯人なのでしょうか?
これ、よく聞かれますが、答えるのが億劫なので変更するかもしれません。

μニュートリノ418