日々是白馬村」カテゴリーアーカイブ

日々是白馬村 part 51

暑さ寒さも彼岸までと申しますが、春分(20日)を境にして白馬村へも春の陽射しが届くようになってまいりました。
3月に入ってからは晴天率も高くなり、白馬連峰の美しき姿を見られることに喜びを感じながらも、終わりつつある冬を惜しんでおります。
19日には15㎝の積雪がありましたけど、おそらくそれもこの冬では最後のこと。
朝の最低気温も氷点下(冬日)が3ヵ月以上続いていたのに、12日はついにプラスへと転じてしまいました。昨年12月4日以来で98日ぶりのことです。
その後も-8.4度まで冷え込む朝もありましたが、そろそろこのような景色は見納めになるのかと思うと寂しい限りです(写真 1)。

日に日に雪どけが進んでいるため、雪がたっぷり残る野平(のだいら)地区までハチと散歩に行ったときのことです。この地区へ来ると観光客はもちろんのこと住人ともほとんど出会うことがなく、誰にも邪魔されず大自然を満喫できる時間が過ごせます(写真 2)。

そんな訳で眩しいほどの陽射しを浴びながら散歩をしていて、ある民家の角を曲がったら雪原の中に白い大型犬を発見しました。飼い主の姿は見当たらないので近所の犬が放してあるのでしょう。
「おーぃ、こっちおいで。ひとりで遊んでるの?」
ずいぶんと大きな犬ですが白熊のはずはないので声を掛けてみました。けどこちらを振り向くことなくジーッとしたままです。
何をしてるんだろうと思いつつ近づいてみると、犬ではなく雪の塊でした(写真 3)。

これにはしばらく笑いが止まらず膝はガクガクして立っていられないし、ハチは怪訝な顔でボクを見上げてるし、喉が渇いたけど自販機なんてどこにもないので大変でした。

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日々是白馬村 part 50

白馬村に越す床して1年半が経ち、このコーナーもちょうどpart 50になりました。
そしてハチと過ごした2回目の冬が終わろとしております。まだ終わってませんけど。終わらないでほしい。終わってはいけません。

半年ぶりぐらいに八方尾根スキー場の麓に広がるホテル・民宿街へハチと散歩に行きました。
ここはオーストラリア人多発地帯(みそらの地区)から少し離れてはいるんですが、やはりここもガイジンの集団がウヨウヨしている地帯なので、普段は丸腰で近づかないようにしてます。
※なんて書いてはいますけど、実はハチと散歩していて気持ち良い挨拶をしてくれる確率が圧倒的に高いのはオーストラリア人です。観光客も在住の人も。
狭い道を散歩中、車が来るとハチを抱きかかえて道のふちへ避けるんですが、在住のオーストラリア人は必ずお礼の合図を送ってくれますし。
わざわざ避けているのに知らん顔して通り過ぎる確率が一番高いのは、都会から来た日本人の若い連中です。

話を戻しまして、この地区は学生時代にアルペンスキーの合宿や試合で数々のホテルや民宿にお世話になっているんですが、当時の女将さんたちはもう天国へ行ってしまって寂しい限りです。もう40~50年も昔のことなので仕方ないですね。
ちなみに民宿というのは全国にありますけど白馬村が発祥だそうで、白馬村の中でも八方尾根スキー場の麓、ここ細野地区から民宿は始まったんですって。

懐かしの地区を丸腰で散歩していたらハチが狭い路地へと入っていきました。ボクも通ったことのない路地です。
進んで行くとその先は雪の壁があり行き止まりになっていました。
なのでボクはハチを抱きかかえて通りに戻ったんですが、またハチはその路地へまっしぐらに突き進んで行くんです。他の犬のマーキングが気になるのでしょうか。
けどクンクンするわけでもないので、再び抱きかかえて通りまで戻ってもまた一目散にその路地へ入って行くので、仕方なくそのまま歩かせました。そしたらある場所で突然ハチが座り込んでしまったんです。
足が痛いのかと心配したんですが、痛いときは立ち止まってボクの顔を見上げます。けどそんな素振りはまったく見せなかったので何だろうと思いつつ何気なく目の前を見たら、民宿の屋根から龍神さん?が降りてきてました(写真 1)。

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日々是白馬村 part 49

大自然が創作した現代アート展(2025 冬)

エントリーNo.1、銅像
アパートのすぐ近くで見つけました。見た瞬間はリビアのカダフィ大佐とかパナマのノリエガ将軍のような独裁者を思い浮かべたんですが、別の角度から見たらアヒルの国の皇帝陛下っぽかったです(写真 1)。

エントリーNo.2、ギロチン
ハチと白馬駅へ向かう途中、何かのモニュメントか氷の彫刻が飾ってあるのかと思いきや屋根から集団で落下してきた殺人ツララ軍団で、雪に突き刺さったままの体勢を保ってました。
この真下で作業中の人がいたとしたら春まで発見されないかもしれない(写真 2)。

エントリーNo.3、リーゼント
横浜DeNAベイスターズの三浦監督に憧れてるのでしょうか、それとも氣志團のファンなのか、リーゼントのメルセデスがいました(写真 3)。

エントリーNo.4、異次元ポータル
国道から逸れて民宿が並ぶ通りを歩いていたら、先にキラキラ光る何かが見えました。
あれは何だろう?
近づいてみるとほぼ全身が埋もれかけ、わずかに生き延びているカーブミラーでした。
異次元へ出入りするポータルではなかったです(写真 4)。

エントリーNo5、信玄公の遺影?
五竜岳の山頂付近には冬になると毎年これが現れます。
今年もくっきりと信玄公の家紋である武田菱が出現しました。武田信玄ファンの聖地にはなってないようですけど。それにしてもお見事(写真5・6)。

エントリーNo.6、破壊王
現代アートではないんですが、我がアパートの屋根の雪庇(せっぴ)はちっとも落下せず、どんどん成長しております。
♪ごらんあれが雪庇岬 北のはずれと
見知らぬ人が指をさす…………
それは竜飛岬な。
そうね。この雪庇がいよいよ落ちてくると強烈な破壊力でして、給湯器とかエアコンの室外機を豪快にブチ壊してしまうんです。反グレも恐れるマジでヤバい連中です(写真 7)。

やっぱり冬は楽しくてやめられない。
また寒波が来るみたいなので、寒波が去った後の晴れが待ち遠しいです。積雪はほどほどにしていただきたいですけど。
それでも白馬村は3千メートル級のアルプスが雪雲を阻んでくれてるので、向こう側の富山や新潟ほどじゃなくて助かってますけど。
毎週のように富山からスキーに来る人たちがいて、ときどき富山の美味しいお土産をいただいたりしてるんですけど、ここしばらく来てませんでした。
富山の自宅周辺に雪が積もりすぎてスキー場まで行けないとのことです。
雪が多すぎてスキー場へ行けないって、なんだか笑えますね。

日々是白馬村 part 48

今シーズンも白馬村は外国になっています。
スキー場に近いエリアや白馬駅周辺は日本人がマイノリティになっているため英会話の勉強にはなりますが、銀行や郵便局で流れてる噂によると来年から村の通貨がオーストラリアドルになるとのことです。住所もオーストラリア国の北半球州白馬村自治区に変わるため、日本から手紙を出すにしても北海道のニセコ町と長野県白馬村は国際郵便扱いになるのでご注意ください、って。村民の国籍はどうなるのでしょう?

この季節は積雪のため農道や細い抜け道が通れません。なのでハチの散歩はまず白馬駅へ向かいます。
それがたまたま昼前だったりすると11時42分着の“特急あずさ”から無限に吐き出されたガイジンが一帯を占領するため、敗戦国の植民地のような様相を呈しています。新宿からの直通はこれ1本だけなので他の時間は平和ですけど。
それと、これほど多くの人が狭い空間に密集しているのを見るのは近年だとオンバシラ祭り意外にはない。
“特急あずさ”の到着後、しばらくしてやや落ち着いてきた駅の改札口前(写真 1)。

この“特急あずさ”ですけど、新宿発が8時ちょうどのくせして“あずさ5号”なんです。“2号”でなくてごめんなさいね。
8時ちょうどなんだから“あずさ2号”じゃなきゃダメに決まってるでしょうよ、JR!
けどJRにも都合があり、現在の“特急あずさ”は上り列車に偶数番号を、下り列車には奇数番号を付けてるので、信濃へ向かう下り列車を“2号”にはできないんですって。
ところがですよ、長野県内の一部では“(8時ちょうどの)あずさ2号”を復活させようとの動きがあり、3月23日には松本市で狩人を招いたコンサートが開催されますし、コンサート前には県民による「あずさ2号 のど自慢大会」もあるそうで、これは決起集会ですね。
県民は本気のようですぞ。さぁてどうする、JR。

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日々是白馬村 part 47

文体を以前のものに戻すことにしまして、降りました。そして積もりました。
昨シーズンの12月は雪が降らなくて嘆いていましたが、今シーズンは12月に入る前から降り始めてスキー場は麓まで真っ白に。
アパートの駐車場も白く染まったのでミステリーサークルを作ってやろうと試みたんですが、麦畑と違って雪は足跡が残ってしまうためミステリー遊歩道に変更して遊んでました。楽しかったです(写真 1)。

この写真はシーズン始めの気温が高い時期なので可能だったんですが、現在は新雪が積もってもその下はガリガリに凍った雪が這いつくばっているので残念ながらこんなことはできません。
12月も中旬になると雪はシンシンと静かに降り積るのではなく、パンダのシンシンとも関係なく毎日が吹雪でハチは散歩に出るたび雪まみれになっていました(写真 2)。

昨シーズンと今シーズンでスキー場の積雪状況を比べてみると、松本方面から来て白馬地区最初の白馬さのさかスキー場は昨年のお正月は積雪が10センチ。一番奥の白馬コルチナスキー場でも100センチでした。
これはスキー場のもっとも高い位置の圧雪してない状態での積雪なので、圧雪すればほんのわずかになってしまいます。それでは滑れない。
さのさかスキー場なんて麓に近いゲレンデは積雪0センチで茶色かったです。1月7日ごろまでは。
それが今シーズンのお正月はさのさかスキー場が240センチ。コルチナスキー場は340センチまで積もり、おめでとうございます。
こんな調子なので年末年始は麓の住民も毎日雪かきに追われ、ボクも朝昼晩3回の雪かきで汗だくになる日々でした。
白馬村は雪国ですが豪雪地帯ではありません。なのでちょっと降り過ぎなんじゃないのかいと呆れていたんですが、青森のニュースを見て反省。青森と比べたら白馬村なんて大したことございません。多少の苦労はあってもフツーに生活できてますから。

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日々是白馬村 part 46

12月20日(金)、久しぶりにアルプスが麗しき姿を披露してくれた。
10日(火)に晴れて以降は来る日も来る日も雪雲がアルプスの頂を覆い隠しており、白光に輝くその姿を拝せぬまま日々を送っていた。
なので今朝、カーテンの隙間から夜明け前の暗闇にうっすらと浮かび上がる白馬三山の美肌を目にした瞬間は呼吸が止まるほど驚いてしまった。
外気温は-12.1度。放射冷却によりこの冬一番の冷え込みだが、そんなことはどうでもよろしい。
さっさと準備を整えるとハチを抱きかかえて部屋を飛び出した。

新雪をラッセルしながらあぜ道に侵入して日の出を待つこと15分。しかしこの日もアルプスは赤く染まることなく夜は明けてしまった。どうして今年はモルゲンロートの鮮やかな夜明けが見られないのか。
地元の人はそんなことに関心がないので誰に聞いても判らない。同じアパートに白馬高校で特進クラスを受け持つ理系の先生がいるので次に会ったら質問してみる。

9時を過ぎたころ、まばゆい雪晴れに誘われて再びハチと散歩に出た。
外気温は-8度ぐらいだろうけど風はないしお陽さま照ってポッカポカ。雪の反射もあり陽を直接受けるとダウンジャケットが暑い。着てこなけりゃ良かった。
半袖で歩いているオーストラリア人がいて陽気に
「ハーイ、こんにちは」って。
「はい、こんにちは。良いお天気ですこと」

ダウンジャケットが必要なくても雪眼鏡は必需品で、色眼鏡とも言う。要はサングラスのことだが、これを掛けてないと本当に目が見えなくなるし、昨シーズンは2回なった。

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日々是白馬村 part 45

今回は文体を変えてみる。変えたい気分なのだ。

白馬村には食料品スーパーが3店舗あり、どこも商品が充実しているのでありがたい。
イオン系列のビックで狙うのは刺身コーナーに並ぶ、切り身で出た切れ端ばかりを詰め込んだパック。マグロにサーモン、ハマチ、ブリ等の寄せ集めだ。1日に1~2パックしか出ないこの切れ端パックが安い。
朝一番に行ってもまだ無い。昼過ぎに行くともう無い。11時ごろが狙い目だ。
最近値上がりした切れ端パックだが先日は超特盛りで358円だった。358。一部の人種が喜ぶ数字だがボクは数に優劣をつけない。
その日の特盛りパックはとてもじゃないけど一度に食べきれる量ではなく、2日分の酒のつまみにする。半分で179円。居酒屋へ行けばこうはいかないだろう。けどちょっと飽きてきた。
アパートから南へ2㎞のビック(写真 1)。

A・コープ(農協)の入り口には野菜の生産者直売コーナーがあり、ここが激安なのだ。
店内では小さなパックのインゲン豆が197円ぐらい。直売コーナーだと店内パックの3~4倍ぐらいがビニール袋に詰められていて130円。ナゼそれが許されるのか。食べきるのに苦労した。
プチトマトも店内だと小さなケースに少量入って350円ぐらいなのに、直売コーナーだとその2倍以上入った袋が200円。ウソではない。ちょうどその日は神戸から由紀姉たち三女神が遊びに来てたので一緒に行った。ウソだと民事に提訴されたら証言してもらう。

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日々是白馬村 part 44

久しぶりに、本当に久しぶりに青鬼(あおに)地区へ行きました。移住してからは初めてですが、それどころかひょっとしたら30年ぶりぐらいになるかもしれず、最後に行ったのがいつなのかは記憶にございません。
青鬼地区は白馬村の中でもっとも人里離れた集落で、アパートからだと10分ぐらい細い山道を登った先にあります。徒歩ではなく車でですよ。
何度か申し上げましたが白馬村は東京都八王子市より少し広いだけでほぼ同じ面積です。小さな小さな狛江市と比べると白馬村は約30倍近くあります。けど狛江市の人口は白馬村の約10倍なので、人口密度は300倍ってことか。
ということは白馬村の村民1人あたりの専有面積に対して狛江市は300人いることになり、何と申しましょうか、にぎやかですね。

それで晴れた朝、モルゲンロートで赤く染まるアルプスの日の出を青鬼地区まで見に行ったんですが、夜明け前に霧が発生して何も見えなくなってしましました。
けどモヤに包まれた青鬼集落は幻想的でもあり、こんな雰囲気でした(写真 1)。

なかなかの雰囲気が漂ってますでしょ。推理小説の舞台になりそうな。
火曜サスペンス劇場の場合だと、タイトルは今ならさしずめ「IT企業のOLが消えた 霧にけむる信濃の隠された集落 スマホに残された謎の数字とは」みたいになるんでしょうけど、そのような事件が起きたとは聞いてません。

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日々是白馬村 part 43

白馬連峰がやっと雪化粧をしてくれて、待ちに待ったこの日がついに訪れました。
昨年の初冠雪は10月5日。富士山も同じでした。それが今年は1ヵ月遅れて11月6日になり、またしても富士山と同じ日になりました。めでたしめでたし。
なにが?
さぁ判らん。

昨日(7日)まで曇っていたんですが今朝(8日)は快晴で、最低気温はマイナス2.6度。今シーズン初の冬日です。
車のフロントガラスはガチガチに凍っていたのであきらめて、ハチを抱きかかえたまま白馬駅の裏まで走りました。じゃないと日の出に間に合わない。
走ったといってもアパートから駅裏までは約1㎞だけですけど。

雪が2週間ほど早く降ってくれたら山頂付近が白く中腹は紅葉の赤、麓は緑の三段紅葉が見られたんですがまぁ仕方ない。今シーズン初めての雪山の夜明けです(写真 1)。

話は変わりますが10月30日~11月3日まで名古屋へ行ってました。移住してからは初の名古屋です。
健太の披露宴に出席するためなんですが、ここぞとばかりに白馬や大町にはない店へ行き、ユニクロでは極暖や超極暖のシャツ、ホームセンターではハチに必要なペット関連商品、そして最優先で行ったのは大型書店。山に関する文庫本を大量に買い込みました。
ボクはかなり本を読みますが、文庫本だけで2万4千円を超えたのは初めてかもしれない(写真 2)。

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日々是白馬村 part 42

10月21日は早朝の最低気温が2.2度。
夜明け前、カーテンを開けたら薄暗がりの中で西の空に北アルプスの姿がくっきりと浮かんでいました。
東の空を確認すると雲はなし。北アルプスに雲がかかってなくても東の空が雲に覆われていると太陽からの陽射しが遮られて山が赤く染まる美しい景色は見られません。
それに今朝は姫川の朝霧も発生してないので絶好の夜明けモーニングショー日和になりそうです。朝霧が出ると周辺が霧に包まれて山が見えなくなってしまいますが、今朝はすべてが整いました。
急いで着替えを済ませるとハチを車に乗せ、3分ほど山を登った野平(のだいら)地区へ向かいました。
このあたりも熊が出没するんですが、熊除けの鈴を鳴らしなつつハチを抱きかかえたまま絶景ポイントを目指して草ムラへ突入。靴もジーンズの裾も露でビショビショになったけどモーニングショーの特等席を確保するためなのでその程度は仕方ありません。
7月8月は頻繁に熊出没情報メールが役場から来ていたんですが、9月後半ごろからはほとんど目撃されていないので大丈夫なことにします。
それでこの日のモーニングショーはモルゲンロートで赤く染まる白馬の山々が神々しく輝きました。空の小さな黒い点はカラスかトンビです。
左(南)から鹿島槍ヶ岳・五竜岳・唐松岳。中央付近のV字に切れ込んだ不帰の剣(かえらずのけん)は登山者の難所で、その右のなだらかそうに見える天狗の頭を過ぎると白馬鑓ヶ岳・杓子岳で、右端は白馬岳の南側斜面。
(写真 1、写真 2)

山頂付近は紅葉のため特に赤く染まってましたが陽が高くなるにつれて赤色は薄れ、10分も経たないうちに白い景色に変わってしまいました。

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