和歌山県の紀伊大島沖で座礁したトルコ(オスマン帝国)の軍艦エルトゥールル号の話が映画になり、本当に嬉しいです。
2014年9月に発表した「遷都高天原」はメインの舞台が飛騨の神岡とトルコでして、神岡はスーパーカミオカンデがニュートリノ振動の発見に与えられたノーベル物理学賞で注目されてますので、トルコの明るい話題が出ないかと期待していました。
そしたらノーベルウィークに合わせるようにしてこの映画が。
けど、実は期待せずして映画館に行きました。きっと低予算で短期製作のドキュメンタリー的な映画であろうと思っていたので。
ところがところが、大変失礼いたしました。映像もストーリーも芸術性も素晴らしい内容でした。
それにイラン・イラク戦争でテヘランに取り残された日本人を、トルコ政府がチャーター機を飛ばして救ってくれた話までちゃんとストーリーに入っていて…………
憲法において戦争の放棄は誇るべきことですが、自衛隊の海外派遣が憲法に反するからといって、戦時下に取り残された自国民の救出まで放棄してしまうようでは、誰のための憲法かよく判らん。
日本人救出のためにチャーター機を増やしてくれたトルコ政府と関係者に深く感謝いたします。
また、チャーター機に215人もの日本人が乗ったため、飛行機に乗れず陸路でイランから脱出されたトルコ国民にも心から感謝いたします。
「遷都高天原」では1890年のエルトゥールル号座礁事故(48ページ)も、1985年のトルコ政府による日本人救出作戦(49ページ)も、そして2013年カッパドキアでの日本人殺害事件におけるトルコ国民の日本人に対するやさしい想い(226ページ)も書きました。
残念ながら2020年のオリンピックはイスタンブールが落選し、「汚染水は完全にコントロール下にある」と世界を騙した東京が勝ち取りましたが、開催地決定の翌日に起きたのがカッパドキアでの事件なんです。
イスタンブールはオリンピックに立候補し続けること連続で5回。
ですが2020年もオリンピック開催の夢は断たれ、日本を妬むかと思いきや、殺害された栗原舞さんを想って大勢のトルコ人がプラカードを掲げてくれました。
そのプラカードには
「皆様の悲しみは、私たちの悲しみです」
「トルコはマイ・クリハラを忘れません」
「トルコと日本の友好が永遠でありますように」
「ごめんなさい」
と。深田さんはトルコ語が読めるんですかって思いました?
書かれてたのはトルコ語でも英語でもなく日本語だったからで、テレビでニュースを観ながらあわてて書きとめたんです。
もし日本でトルコ人が殺されたとしたら、日本人はトルコのメディアやトルコ国民に向けて同じことをするでしょうか?
トルコ人はエルトゥールル号の恩を忘れておらず、日本人はテヘランの恩を忘れているかもしれません。
※2006年に日本政府は、テヘランから日本人を救出してくれた当時のパイロットや客室乗務員ら13人に勲章を授与しています。
「時空間日和」にも「遷都高天原」にも書きましたが、日本は同盟国を間違えています。
トルコ、イラン、エジプト、ポーランド、メキシコ…………いや、絆を深めるのは国連安保理常任理事国5ヶ国以外すべての国か。
特に国番号が日本は「81」でトルコは「90」、合わせると「171」ですし、国旗だって合わせると紅白で日・月・星が揃って実におめでたいです。
ぜひ観てきてください。
それと、ハンカチをお忘れなく。
次は「杉原千畝」を観てきます。