日々是白馬村 part 26

白馬村でも日中の最高気温が12度前後まで上がる日が続き、18日は15度近くにまで達してしまい雪が溶けること溶けること。
雪解(溶)け水であちこちが水たまりだらけになり、さらにはスキー場の雪もジャンジャン溶けていて、こんな暑さが続けば数日後には大洪水で村ごと流されてしまうかもしれません。
ボクのアパートもすでに腰のあたりまで雪解け水が侵入してきていて、わーっヤバいぞー、逃げろ……………

なんてことはありませんけど雪は日々確実に溶け続けているため、今のうちに残された雪原で過ごしておこうと、毎日ハチと雪の中で戯れています。
こちらを向いてほしくて名前を連呼したのに知らん顔してボクの前を通り過ぎて行ったハチ(写真 1)。

ちなみに雪がとけるって、「溶ける」なのか「解ける」なのか「融ける」なのか、調べても今ひとつはっきりしません。
雪をとかすは溶かすでもいいみたいですが、雪どけ水は雪解け水ですし、雪をとかすため道路に散布するのは融雪剤なので融かすになり、どう使い分ければいいのでしょうね。
雪とは関係ありませんが、「変える」と「代える」と「換える」と「替える」もいまだにどれを使えばいいのか迷うことがあります。

けどそんなことはどうでもよく、今回はこれまで話さなかったボクの恥ずかしい話を思い切って暴露します。馬喰町で。いえ、白馬でです。

名古屋で暮らしていたころは、長野県へ行くことが決まると子供の頃の遠足前日と同じで、ワクワクドキドキしてまともに眠れませんでした。若かりしころであっても50代になってからもです。
行き先は諏訪であろうが伊那や駒ヶ根であろうが戸隠であろうが、あるいは松本の市街地でもです。
それが白馬ともなると前の晩なんてもぅソワソワして落ち着かず、朝5時に出発すればいいのにちっとも眠れないため結局は夜中の1時とか2時に家を出てしまうありさま。

中央道を北上し、途中の駒ヶ根サービスエリアで仮眠して…………といっても眠れないのでウトウトするだけですけど…………岡谷ジャンクションで右手に諏訪湖を見ながら長野道へ入り、塩尻インター手前のトンネルを抜けると遥か前方に北アルプスが見えてきます。
その姿が視界に入った瞬間からボクの鼓動はドキドキと高鳴り、やがて松本市を抜けて安曇野インターを降りるころにはドキドキからドッキンドッキンに変わってきます。
そしてこれは一人で行くときだけなんですが、白馬の山々が少しずつ近づくにつれ破裂しそうなドッキンドッキンがときどき停止しそうになるほど緊張が高まってくるんです。
オレってこのまま白馬まで行ってもいいんだろうか、それともこれ以上は近づくのをやめておこうか……………

それは好きで好きでたまらない女性に会いにいくときのような、あるいは手が届かないけど憧れ続けている女性の近くに行けるときような嬉しさです。
けど、いくらこちらが好きであっても相手がこちらを受け入れてくれなければミジメなだけなので、大町を過ぎるころにはやっぱり引き返そうかとの思いが毎回のようによぎっていました。一人のときはですよ。
そして苦しみもがきながら着いたころ白馬村は曇っていて、白馬三山や五竜岳は雲に隠れてその姿が見られなかった日にゃあそれはもう、
あーぁ、なーんだ姿を見せてくれないのか。せっかく来たのに……………
やっぱり相手してもらえないんだな、オレなんて……………
けど仕方ないか、こっちが勝手に来たんだし……………
姿は見られなくても近くに来られたらだけでいいや……………
と、フラれてしまって可哀想な自分をなぐさめる高校生のようにしょんぼりしていたものです。
そして恥ずかしいことに白馬村を後にした帰り道、ハンドルを握りながらサイドミラーをチラチラと見つつ心の中で
きっとまた来るからね……………
必ず来るから待っててよ……………
と雲に隠れた白馬の山々に向かって未練たらしくつぶやいているあきらめの悪さ。
キャー、恥ずかしい!
お前ストーカーか!
警察に通報するぞ!

晴れた日の帰りには遠くなりつつある白馬の山々をサイドミラーで確認して、涙を流しながら安曇野インターへ向かったこともありました。
ありがとう。絶対にまた来るね……………
名古屋へ帰っても忘れないから……………
って、ちょっとヤバいなお前。

そんなことを繰り返すこと幾星霜。
いまや晴れていれば夜明けから日暮れまで、いやいや月明かりに山々がうっすらと浮かぶ真夜中だってそのお姿を拝見することができるようになり、近くに置いていただけてほんに幸せどすえ。

朝起きて空が曇っていてもあきらめることなくハチと日の出を待っているとこんなことが起きたりもします。
空一面が雲に覆われていたのに、日の出のいっときだけ姿を見せてくれた白馬の山々(写真 2)。

日の出からわずか数分間だけピンク色に染まる凛々しい五竜岳(写真 3)。

白馬駅の裏手から見る北アルプスはボクのアパートよりも1㎞ほどスキー場から離れているためその存在が小さく、北アルプスが主体となって見渡せるので特に好きです(写真 4)。

中央の八方尾根スキー場から右へ白馬鑓ヶ岳、杓子岳、白馬(しろうま)岳。左へ唐松岳、五竜岳。