「重力波が………」

ひとまずは重力波の検出、おめでとうございます。
けど、やられてしまいました、アメリカに。
重力波は飛騨神岡のKAGRA(かぐら)が世界で最初に検出すると予想してしたので、アメリカのLIGO(ライゴ)がそれをやったことによって、近いうちに飛騨神岡が授賞するであろう4つのノーベル物理学賞のうち1つがアメリカに行ってしまうかもしれません。

それでも大丈夫。昨年「ニュートリノ振動の発見」でノーベル物理学賞を授賞された梶田隆章教授率いるKAGRAチームは、LIGOよりもさらに詳しく重力波を解明できることでしょう。
それに今回LIGOが重力波を検出したことで、KAGRAが重力波を検出できるかどうかの不安は払拭されました。あとはより精密なデータを集め、それを解析すればさらなる宇宙の謎が解けるはずで、そのKAGRAは3月15日から稼働する予定です。

KAGRAはしばらく装置の調整が続くでしょうけど、今年中には本格的な観測が開始されることを期待しています。何しろKAGRAの性能ときたら、300垓分の1の誤差を検出できてしまうんです。
300垓分の1って、
30000000000000000000000分の1
でして、太陽と地球の距離で当てはめると、1億4959万7870㎞と691メートル±30メートルが太陽と地球の平均距離なんですが、それを2億分の1ミリメートル単位まで測ってしまう能力なんです。スゴすぎる………

ちなみに今後飛騨神岡の実験施設でノーベル物理学賞を授賞する予定なのは、
☆XMASS(エックスマス)による、宇宙の全エネルギー中で26%を占めるダークマターの検出。
☆KamLAND(カムランド)によるダブルベータ崩壊の観測で、ニュートリノがマヨラナ粒子であることの証明。
☆ハイパーカミオカンデ(現在計画中)による陽子崩壊の観測。
それに加え、KAGRAによる重力波の検出が含まれていたわけです。

アインシュタインが一般相対性理論を発表したのが1915年(特殊相対性理論の発表は1905年)で、重力波の存在を予言したのが1916年のこと。ちょうど100年前ですね。ひとまずは検出できてよかったです。

ところで重力波が検出されたんだから、異次元を行き来しているかもしれない重力子(グラビトン)も発見されたのかと期待してしまいますが、これがまたややこしい話でして、重力波の検出がイコール重力子の発見とはいかないようなんです。

2012年にジュネーブのセルン(ヨーロッパ合同原子核研究機構)が発見したヒッグス粒子は、ヒッグスという”粒”を見つけたのではなく、ヒッグス場に衝撃を与えて発生した”波”を検出してヒッグス粒子としています。
だったら重力波は重力子の集合体かとも思えてしまいますが、それはちょっくら違うらしく、高エネルギー加速器研究機構と日本原子力研究開発機構が共同運営する茨城県東海村のJ-PARCからいただいた回答によりますと、これが何とも難しくて、とてもじゃないけど説明できません。

ですが、重力子はこの物質3次元と異次元を行き来しているかもしれず、重力子の存在が証明できれば空間的高次元世界の存在………物理学ではそれを余剰次元と呼び、現在の物理学では9次元または10次元の空間世界を探しています………も明らかになるかもしれません、近い将来には。ならないかもしれませんが。
というのも、セルンのLHC(ラージハドロンコライダー=1周が27㎞もある巨大な陽子加速器)で超対称性粒子がいまだに見つからないんです。
超対称性粒子がこのまま見つからないと、今まで信じられてきた宇宙の成り立ちを説明する理論が破綻するかもしれず、そうなると物理学界は大騒動におちいることでしょう。
さて、どうなることやら。宇宙の解明も神の原材料の解析もまだまだこれからです。