富士見町上蔦木(かみつたき)地区の十五社神社は、目の前の国道を東に向かえば1、5㎞で山梨県北杜市の白洲町ですし、国道の反対側を流れる川の向こうへ行けば山梨県まで200メートルなので、サントリーウィスキーの香りが漂って来て…………ませんけど、6年前にも同じことを書いたかもしれません。
ここのオンバシラ祭りはひたすら山を下り、二つのヘアピンカーブを曲がるのが醍醐味だったことを憶えてます。今回もそれを楽しみにしてましたが、オンバシラが曲がってるときは必死で子綱を曳いているため写真が撮れず、ですから建てオンバシラの様子をご紹介いたします。
無事にヘアピンカーブを曲がり終えると公民館があり、そこでしばらくは休憩。その間にもいろいろ催しものがあり、6年前も感激したんですが、永く伝わる富士見太鼓を継承する子供たちのパフォーマンス。子供たちの技と顔つきがカッコ良かったです。
休憩後、警察が国道20号線の車を停めてくれている間に大急ぎでオンバシラを国道まで曳き出し、すぐ先にある参道入り口の鳥居まで曳き入れます。
その間わずか2分ほど。取材に来ていた長野日報の記者も歓声をあげて大喜びしてました。
そして境内へ曳き込むとここも最後は階段登りが待っているんですが、危険なため役持ち氏子さんのみでの曳行になります(写真1)。
急な階段を全力で曳き上げつつ、最後の階段から3メートル先に建つ本殿にぶつけないようにして10メートル以上のオンバシラを右にターンさせるんですから(写真2)、本当にすごいですよ、この人たちの技術は。
オンバシラを建てるのも人力で、カグラと呼ばれるこの装置に紅白の布が巻かれた2本の棒を直角に差し込み、4人でクルクル周ります。
ここでは掛け声がありませんでしたが、他ではこんな掛け声が響きます。
ヨイトーマーケ
マケマケマーケ
ヨイトーマーケ
マケマケマーケ
すると、少しずつオンバシラが建ち上がっていくんですね(写真3)。
そしてあと少し。オンベを振る氏子を乗せ、いよいよオンバシラが神になる瞬間が近づいてきました(写真4)。
無事に建てオンバシラが完了すると神事やその他のセレモニーがおこなわれ、最後はロープを滑るようにして一人一人が降りてきます(写真5)。
残された足場を係の人が外すと最後はロープだけが残るんですが、このロープは七五三巻きという複雑な巻き方がしてあるため、下からロープを持った氏子さんが交差しながら巻き方の逆に動いていけば、オンバシラに巻きつけられたロープがストンと落ちてきまして、見事としか言いようがありません。
最高に気持ち良い秋晴れの小宮オンバシラでした。