「ミューオンによる原子炉透視」

福島第一原発で、溶け落ちた核燃料の位置を調べるのに、宇宙線から生じたミューオン(ミュー粒子)の透視能力を利用するニュースが新聞に出ていました。

“宇宙船”ではなく”宇宙線”なんですけども、宇宙線のほとんどは宇宙から降り注ぐ陽子です。
陽子は大気中の酸素原子や窒素原子の原子核と衝突して、いろいろな粒子に変化します。
例えば、二つのクォークから成り立つパイ中間子だとか。
しかしパイ中間子は通常の寿命が1億分の2、6秒ですし、種類が違うパイ中間子では1000兆分の1秒以下しか寿命がないものもあります。
どうやって計るのでしょうね。

そのパイ中間子は地上に向かって飛んで行くうちに、フォトン(光子)に変わったり、そのフォトンが電子と陽電子を対生成したりして面白いんですが、そのような現象を「空気シャワー」と呼びます。
空気シャワーの中には、フォトンが対生成でミューオンとニュートリノに変化したものも含まれていて、核燃料がどこに溶け出しているかを探るのにこのミューオンを利用する訳です。

ミューオンとは大きな電子のことでして、粒子が持つエネルギーとしては電子の約210倍になるため、かなり大きいですね。
とはいっても陽子や中性子と比べれば9分の1ぐらいなので、大きいという表現が正しいのかどうかは迷うところです。

このミューオンは見ることができます。
ミューオンを粒子として直接見るのではありませんが、ミューオンは電子と同じくマイナスの電荷を持っているので、霧箱を通過すると白い筋を残してくれます。
フジテレビがあるお台場近くの「日本科学未来館」にも霧箱が設置してありまして、宇宙から降り注ぐ荷電粒子が通過した様子を白い筋として見られるため、けっこう楽しいです。
たしか5階のスーパーカミオカンデコーナーのすぐ横に置いてあるはずです。

さて、ミューオンはニュートリノと同じく何でも通過してしまいます。
ニュートリノなんて地球の端から端までわずか0、043秒で通り抜けてしまうんです。
ただしミューオンの場合、核燃料のウラニウムにぶつかると吸収されたり進む方向が変化するため、原子炉の反対側に設置した測定装置でミューオンの通過状況を調べれば、どこに核燃料が存在しているのかが判る仕組みになっています。

この装置はKEK(高エネルギー加速器研究機構)が技術開発したので、あのへヴィメタ物理学者の多田将さんも関わっているのかもしれません。
電話して聞いてみようかな。

へヴィメタで思い出したんですが、今日(2月12日)はモトリー・クルーが解散前のファイナルツアーで名古屋にやって来ます。
ロサンゼルスの不良バンドもついに解散ということで、最後のライブは健太と行ってきます。
「Dr.フィールグッド」ツアーのチケットがCDケースに挟んでありまして、日付を見たら前回モトリー・クルーのライブに行ったのは1990年5月11日でした。
なんと25年ぶり。
けど、ミューオンとは関係ないですね、そんな話は。

μ(ミュー)ニュートリノ418