憑(たのめ)の里のオンバシラ 里曳き祭

隣接して鎮座する小野神社と矢彦神社はどちらも信州二之宮。
この地域を憑(たのめ)の里といいまして、5月3~5日に揃って里曳き祭と建てオンバシラをおこなうため、8本のオンバシラが神になります。
今回は小野にも矢彦にも参加する予定でして、初日の午前はまず矢彦神社一之御柱の曳行に向かいました。
集合場所では映画「六ヶ所村ラプソディ」の鎌仲ひとみ監督が待っててくださり、賑やかに曳行開始。
監督は3年前にここへ移住されていて、今や矢彦神社の氏子です。3月の山出しでも一緒にオンバシラを曳きました。
けど、一之御柱は曳き子が多すぎたため、四之御柱へ移動。こちらは曳き子が少なくて真面目に曳かないと動かないので楽しい。

午後からは小野神社一之御柱の建てオンバシラを見に行きました。
オンバシラの後ろ側に陣取って見ていると、諏訪や茅野の知人からボクたちに電話やメールがあり、
「あんたたちずーっとテレビに映ってるぞ。どうせ参加してるだろうと思ってたら、やっぱりいた」とか、
「テレビ観てますよー。山出しでもいっぱい映ってたので、今日も来てると思ってました」って。
テレビといっても諏訪地方だけのケーブルテレビですけどね。

2日目は小野神社二之御柱にべったり張り付いていたところ、曳行の途中で大変なことが起こってしまったんです。
えっ、マジっすか?

なんとなんと、木遣り(きやり)隊の隊長さんから許可が出て、オンバシラの先頭に乗って木遣りを鳴くことに。
しかも、ただ鳴くだけでなく、ボクの木遣りでオンバシラが動くことになってしまいました。
「ヤーアアアァー
 氏子のみなーさーまぁぁぁ
 おねがーいだー
 ヨイテーコショ」
木遣りに合わせ、氏子の皆さんがいっせいに綱を曳き、赤松のオンバシラがスルスルと滑るようにして動きまして、感動です(映像 1)。

境内入り口の手前まで100メートル程度でしたが、役員や氏子の皆様には感謝しかありません。

境内への曳き入れが終わり休憩に入ると三之御柱がやってきました。なのでこちらにも参加して、社の裏に広がる森の奥まで曳きつけると曳行は終了。
しばらく暇なので屋台の焼きそばを食べていたら、二之御柱で建てオンバシラの準備が始まりました。

オンバシラが建つと宝投げといって、やぐらの上から大量のお菓子や餅を投げるんですが、小野神社は現金も飛びます。しかも小銭だけでなく千円札も数十枚。
なのでやぐらの下は観光客やら氏子さんで埋め尽くされるんです(写真 1)。

すごいでしょ。で、ボクはどのへんにいたのかというと、ここです(写真 2)。

実は建てオンバシラが始まったころ大総代さんがやって来て、宝投げのときはボクも上へあがってくれ、って。それでやぐらの上からお菓子や現金をばらまきました。
ボクの左側、白い帽子の役員さん2人をはさんでその向こうの青い法被の人は塩尻市の百瀬市長さんです。またご一緒させていただきました。
いつもは下から見上げる建てオンバシラですが、上から見るとこんな感じでした(写真 3)。もうあと少しで建ちます。

最終日の予定はまず矢彦神社一之御柱の建てオンバシラ見学へ。恐ろしくデカい樅の木がいよいよ神になります。賑やかな女性がいると思ってたら鎌仲監督でした。
建て方衆の人たちとは親しくさせてもらっているので、オンバシラのすぐ真下から見学。
いつものことなんですが、すごい技術です。
けど、近すぎてちょっと怖かった。

矢彦神社の一之御柱が建ったころ、隣の小野神社には四之御柱が境内に入ってきました。
四之御柱はここからが面白く、池の横の狭い段差を引き上げ、社の奥へと続く森の中は木々を避けながら曳くので楽しくてたまりません。
前回はオンバシラの先端が段差に引っかかって大変でしたが、今回はすんなりいきまして、これにて参加を予定していたことはすべて終了です。
小野神社二之御柱、三之御柱、四之御柱、矢彦神社一之御柱、四之御柱の氏子の皆様には今回も大変お世話になりました。
特に小野神社二之御柱を担当される古町地区の皆様にはなんとお礼を申し上げていいのやら。
木遣り、華乗り、宝投げ、たくさんのお心遣いやご配慮をありがとうございました。