日々是白馬村 part 34

今日は山小屋のお話なんですが、その前にひとつだけ先日の新聞に出ていたニュースを。
下諏訪町にあるカフェが図書室を併設したとのことで写真入りの記事が出ていまして、その写真のかなり目立つところに数霊シリーズの「諏訪古事記」が写ってました。
それで「諏訪古事記」の隣りには「まぼろしの諏訪王朝」(増澤光男著)が並んでるではありませんか。おー、スゴい。諏訪古事記を書き上げるにあたり、もっとも参考にさせていただいた著書のうちの一冊です。(写真 1)

さらに下段を見ると「諏訪古事記」のすぐ真下に「アルプスの谷 アルプスの村」(新田次郎著)を発見。なんだか嬉しくなってしまいました。
「アルプスの谷 アルプスの村」は昭和39年の発表なので、今年でもう60年。ヨーロッパアルプスと麓の村に暮らす人々を描いた旅行記(紀行文)なんですが、学生時代にこれを読んでヨーロッパアルプスに憧れたものです。今まで何度読み返したことか。白馬村へ越す床してからも昨年の11月ごろでしょうか久しぶりに読んだんですが、ヨーロッパアルプスの麓の村で暮らす人々の話を日本アルプスの麓の村で寝っ転がって読むのは格別でした。
60年前でも日本人はヨーロッパアルプスに登っていたんですね。
けど考えてみればボクの母も60数年前に白馬村へ来て宿を手伝いながらスキーを楽しんでいたんだから、ヨーロッパアルプスに登る人がいたって不思議ではないのか。

さて、スキーシーズンが終わった白馬村では登山客が増えてきたのでアルプスの山頂付近を双眼鏡で覗いてみたら、いましたいました雪の斜面を登る人たちが。

今までのアパートは窓からアルプスがほとんど見えなかったんですが、ここは白馬三山が真正面に見えるのでやっとこれが使えます。(写真 2)

これはミヤウチ光学の77ミリ口径20倍対空双眼望遠鏡というやつで、高級品ではないんですが安物でもないので大切にしているんです。
で、白馬(しろうま)岳に向けて覗いてみたら登っていました。15人ぐらいはいそうです。
その先には赤い屋根の山荘が見えました。白馬山荘でしょうか。
白馬山荘の歴史は古く、開業は明治39年(1906年)の由緒ある山荘です。収容人数は800人。ゴールデンウイークに合わせて4月27日から宿泊客を受け入れているので、あの人たちもあの小屋へ向かっているのだろうか……………と思っていたんですが、地図で確認してみたら白馬山荘ではなく、村営の頂上宿舎でした。頂上じゃないけど頂上宿舎なんですって。中央の赤い屋根の小屋です。(写真 3)

白馬山荘はもう少し登った先で、富山県側を向いた斜面に建っているようなのでここからは見られませんでした。
双眼鏡にガラケーのカメラを当ててズームアップしたら小屋がはっきり写りました。ガラケーなのでこれが限界ですけど。
こんなときはスマホが欲しくなります。(写真 4)

写真では雪面の右端が紫色、左端は黄緑色に縁取ったように見えますがこれは色収差というもので、レンズの特性なので実際の色ではありません。
フローライトレンズのような高性能レンズだと色収差があまり出ないらしいですけど、かなり高価になってしまって信頼できるメーカーの製品は値段に0がひとつ増えるので買えない。無理。

白馬岳の山頂にも4~5人の姿が確認できました。登ったんですね、おめでとうございます。仁王立ちになって下界を見下ろしてる人もいて………あっ、落ちた。
なんてならないよう無事に下山してください。落ちたら救助のヘリコプターが旋回しているのですぐにそれと判りますけど。

天体望遠鏡を使えばもっと高い倍率で見られますが、双眼鏡と違って天体望遠鏡の場合は構造の関係で天地(上下)も左右も逆になります。
なので女性の部屋を覗くのに天体望遠鏡を変態望遠鏡として使用しても、上下左右が逆になるので止めたほうがいいです。
ただし天頂プリズムを使えば天地は補正されるため、左右だけが逆なら問題ないのか?
あっ、けど天体望遠鏡はものすごく遠い星を見るために設計されているため、隣りのマンションでは近すぎてピントが合わないかもしれません。やったことないから判りませんけども。

そんなことはどうでもよくて、夕暮れ時がまた素敵なんです。
アルプスの向こうに太陽が隠れてから暗くなるまでのひととき、ロッキングチェアに揺られて窓からこの景色を見ているといろんなことを思い出します。(写真 5)

白馬岳はコーポりんどうの屋根が邪魔で中腹から下は見えませんけど仕方ない。
ちなみにコーポりんどうは南向きに建っているので窓から白馬三山はまったく見られません。以前のボクのアパートと同じだ。ご愁傷様。

それで、少しずつ暮れゆくこの景色を見ていたら、ツェルマットのホテルの窓から見上げたマッターホルンの美しくも物悲しい夕暮れの情景が蘇ってきました。また「アルプスの谷 アルプスの村」を読んでみようか。