日々是白馬村 part 66

今シーズンは積雪量が平年よりも少なく、豊かな雪景色を求めて野平(のだいら)地区へ登ってみました。もちろん車で。
誰もいません。観光客も村人も。そして雪もそれほどではなかった。残念。
公民館に車を停めてハチと散歩すること約10分。人がいました。写真を撮ってるのでこの地区の人ではなさそうです。住民は景色の写真なんて撮らないから、多分。
けどこのおじさん、真っ白な輝きを放つアルプスには背を向け、集落のやや上空にレンズを向けてます。何を撮ってるのかと思いきや、カーブミラーにこんな景色が映ってました(写真 1)。

なるほど。写真に収めたくなりますね。
春になると一本桜を目当てにした観光客で大混雑するまさにその位置に立つカーブミラーが、冬にこんな演出をしてくれてるとは知りませんでした。
しかもその一本桜もミラーにちょうど映り込んでいるので、花が咲く春にもまた来ます。ただしその時期は大量のアマチュアカメラマンがミラーに映ってしまうでしょうけど。
奇跡のカーブミラーと、ミラーに映ってる北アルプス白馬連峰(写真 2・3)。

野平地区も雪は少なく、アスファルトの道路は乾いてました。
ニュースでは青森や新潟のドカ雪が話題になっていたので白馬村も同じだろうと気にかけてくれるメールが何通か届きましたが、こちらの積雪量は青森や新潟の3分の1とか4分の1ぐらいです。
青森でしたでしょうか、スタッドレスタイヤを履いた4WD車でさえスタックしてましたが、白馬村では村内にあんなヒドい状況の道路は一カ所もありません。
屋根の雪おろしにしてもニュースでは恐ろしい映像が流れてましたけど、今シーズン白馬村で屋根の雪おろしをした人はおそらく一人もいないと思います。雪おろしをしなければならないほど積もってないもん、どこの家屋も民宿も店舗も車庫も農機具小屋も。
青森や新潟の皆さんは本当にご苦労されたと思います。

数日前、大町の市内に用があったんですけど、大町にはもっと雪がありませんでした。今や大町市は雪国じゃなくなったんですね。
人里だけじゃなく山の麓にも積もってないんだから(写真 4)。

右から五竜岳・鹿島槍ヶ岳・爺ヶ岳・(距離が遠いので低く見えてしまう岩小屋沢岳・鳴沢岳・赤沢岳)・一番左が蓮華岳。
このあたりまでが北アルプスの中でも白馬連峰と呼ばれている峰々です。富山県側では後立山連峰と呼んでますけど。

雪が少ないといえば、オリンピックの会場になってるスキー場も雪があるのはゲレンデだけで、雪景色としてはちょっとさみしいですね。周辺の町や競技会場は盛り上がって楽しいでしょうけど。
白馬村からも二人の選手が出場されました(写真 5)。

part 63で、ボクが借りてる今の部屋は白馬高校出身のオリンピック選手が以前住んでいたことをお話ししました。しかも3大会連続(ソチ・平昌・北京)でメダルを獲得されているとも。
ノルディック複合の渡部暁斗さんです。渡部さんは今回で6大会連続での出場なんです。
初めてのオリンピックはトリノ大会(2006年)で、白馬高校2年生の在学中でした。
白馬高校の在校生でオリンピアンといえばモーグルの上村愛子さんもそうで、3年生のときに長野大会に出場されてます。そして5大会連続で。すごい人たちだ。

ついでにですが、ボクが白馬村へ来て最初に借りたアパートは、真上の部屋がオリンピック選手でした。出身は他県ですが、練習拠点を白馬村に置いていたのでしょう。
ただ、部屋の中でもトレーニングするもんだからドッシンドッシン夜中まで騒々しいのなんのって。やかましさもオリンピック級で、だからボクはアパートを移りました。
そのやかまし選手、北京大会に続き今回も出てたんですね。開会式の入場行進で手を振る姿が映ってましたので。頑張ってたもんね。

もう一人の白馬村オリンピアンはフリースタイルスキーの近藤心音さんで、彼女も白馬中学から白馬高校へ進んでます。途中で転校されたようですけど。
前回の北京大会でも代表の座をつかみ取りましたが、本番の2日前に競技会場での公式練習で大怪我をしてしまい出場を断念。一本も滑ることができませんでした。本当に悔しかったと思います。
そして4年後、リベンジに燃える彼女は今回も出場を果たしたんですが、またしても本番2日前の公式練習で転倒して靱帯を損傷。ビッグエアもスロープスタイルも無念の欠場となってしまいました。
なんて残酷な。悲しすぎます。いったい何がいけなかったのでしょう。

ジャンプ女子で銅メダル2個を獲得した丸山希さんは野沢温泉出身なので、野沢温泉村は大盛り上がりしてます。そりゃそうなりますよね。丸山希さんも北京大会は大怪我で出場を逃しているので、村は喜びで大噴火。おめでとうございます。
彼女は白馬高校ではなく飯山高校(長野県飯山市)出身なんですが、この飯山高校がノルディックもジャンプもアルペンスキーもめちゃくちゃ強くて、特にノルディックは全国大会で何度も優勝してる超強豪校です。
ノルディック複合の山本涼太さんも飯山高校出身で、やはり今回も出場されてますね。丸山希さんの一年先輩だと聞きました。
山本涼太さんは渡部暁斗さんらとともに北京大会のノルディック複合団体でメダルを獲得されてるんですね。強いです、飯山高校出身の選手たち。

ジャンプ陣の活躍に、テレビ番組では解説者として長野大会の金メダリスト船木和喜さんがたびたび登場されてました。
“船木ぃ~”(by 原田)のあの船木さんです。今でも現役選手だそうで驚きました。
船木さんたちが金メダルを決めたジャンプ台が部屋の窓から見えます。もう28年も前のことなんですね。
って、それでまだ現役だなんてスゴくないですか?
そのジャンプ台へハチと散歩に行きました。
どこかのチームが練習してることを期待してたんですが選手も関係者も観光客もおらず、スタート地点へ向かうリフトだけが虚しく動いてました。観光地の貸し切りってさみしいですよ。

リフトに乗れば一般客もスタート地点まで行けます。ジャンプはできませんけど。しないほうがいいし。
リフト代は往復でたしか460円だったはず。
まずはリフトでスタートタワーへ行き、そこからラージヒルやノーマルヒルのスタート地点へ向かうんですが、タワー内部の目立たないところにひっそりとこんな漢詩が刻んであります。

無念堪非幾雪霜
悩風滑降試飛翔
原田仰宙叫船木
今掲旭旗歓喜郎
(今井愛 作)

七言絶句(七字×四句)ですね。
すべてを説明すると長くなりすぎるのでやりませんけど、面白いので三句目だけ注目してください。
原田仰宙叫船木
原田は宙(空)を仰いで叫んだ、“船木ぃ~”

お上手ですね。
長野大会ではこの会場が大観衆で埋め尽くされましたが今となっては、雪原やつわものどもが夢の跡(写真 6・7)。