日々是白馬村 part 42

10月21日は早朝の最低気温が2.2度。
夜明け前、カーテンを開けたら薄暗がりの中で西の空に北アルプスの姿がくっきりと浮かんでいました。
東の空を確認すると雲はなし。北アルプスに雲がかかってなくても東の空が雲に覆われていると太陽からの陽射しが遮られて山が赤く染まる美しい景色は見られません。
それに今朝は姫川の朝霧も発生してないので絶好の夜明けモーニングショー日和になりそうです。朝霧が出ると周辺が霧に包まれて山が見えなくなってしまいますが、今朝はすべてが整いました。
急いで着替えを済ませるとハチを車に乗せ、3分ほど山を登った野平(のだいら)地区へ向かいました。
このあたりも熊が出没するんですが、熊除けの鈴を鳴らしなつつハチを抱きかかえたまま絶景ポイントを目指して草ムラへ突入。靴もジーンズの裾も露でビショビショになったけどモーニングショーの特等席を確保するためなのでその程度は仕方ありません。
7月8月は頻繁に熊出没情報メールが役場から来ていたんですが、9月後半ごろからはほとんど目撃されていないので大丈夫なことにします。
それでこの日のモーニングショーはモルゲンロートで赤く染まる白馬の山々が神々しく輝きました。空の小さな黒い点はカラスかトンビです。
左(南)から鹿島槍ヶ岳・五竜岳・唐松岳。中央付近のV字に切れ込んだ不帰の剣(かえらずのけん)は登山者の難所で、その右のなだらかそうに見える天狗の頭を過ぎると白馬鑓ヶ岳・杓子岳で、右端は白馬岳の南側斜面。
(写真 1、写真 2)

山頂付近は紅葉のため特に赤く染まってましたが陽が高くなるにつれて赤色は薄れ、10分も経たないうちに白い景色に変わってしまいました。

夜明け前から車に乗せられ、いつ熊が飛び出してくるか判らないような草ムラへ連れて行かれて苦労が耐えないハチは大変です。
アパートへ帰り、部屋でくつろぎながら窓から山を見上げてハチは何を想う、の図。
「今日はいつもより山の表情がいいね」とは思ってないんでしょうけど。(写真 3)

秋になり晴天率も高くなりました。そしてやっぱり秋も楽しいです、3番目にですけど。
1番はもちろん冬。すべてが雪に覆われどこまでも白銀の世界が広がるまばゆい冬は間違いなく1番です。
次は春でしょうか。里には色とりどりの花が咲き乱れ、山は残雪・森は新緑の春が2番。ただひとつ、春がすみで山がぼやけてしまうことだけが残念な点です。
そして3番目が秋。
天高く馬も熊も人も肥ゆる紅葉の秋は3番目なんですが、秋晴れの中を散歩する気持ち良さは1番かもしれません。
冬が1番、春は2番、秋が3番。以上。

動物虐待を疑われると困るので付け加えておきますけど、ハチはいつも大変な思いばかりをしているわけではありませんから。
散歩へ行きたいとの合図があれば、ハチが望むコースを好きなように歩かせてます。雨の日も風の日も雪の日も。1日に3回でも4回でも。雨の日だけはハチがすぐに帰りたがるので助かってますけど。
夏ごろからハチのお気に入りは信濃森上駅から北に広がるのんびりした地区を周遊するコースで、この地区は昔ながらの民家が今でもたくさん残っていて寅さんが旅していそうだし、畑仕事をしているオジちゃんオバちゃんも話しやすい人が多いのでボクも気に入ってます。
(写真 4・5)

この日も軽トラのオジちゃんに村の歴史を聞いていたらいろいろと興味深いことを話してくれました。
この地区は観光客が入り込むことはありません。なので写真を撮るために畑を荒らすような不届き者もおらず、だからでしょうか見慣れない顔でも用心されないので楽です。

それにしても気持ち良い秋晴れなので帰るのがもったいない。
ハチを道連れにもう少しどこかでブラブラしてみます。お弁当を買って河原へ行くのもいいし、青鬼(あおに)地区へ久しぶりに行きたい気もするし、さてどうしよう。