数霊(かずたま)
数に“玉し霊”が注ぎ込まれることで、
数霊として世の中の仕組みを解明する
たま出版 A5判 本文398ページ 2300円+税
著者が数霊の存在を知ったのは、神道の大家であり著者の師でもある今は亡き小林美元氏との出逢いからであった。
あるとき小林美元氏は、若かった著者を前にして、神道に伝わる数霊についてわずかばかりの話をした。すると著者はそれを大きく発展させ、出来上がったのがこの書である。
これには師である小林美元氏も驚いたようで、後にこのような言葉を残している。
「この本は、私の弟子の中でも一番の優秀な者が書きました。素晴しいです」と。
著者はこれをリップサービスだと理解しているが、確かにこれまでの数霊というものは、数霊単体で考えられていたため、人々が日々の生活の中で活かす術はなかった。
しかし、著者は数霊と言霊が表裏(裏表)の関係であることに気付き、本書を記したのである。
序章にあたる“数霊、その前に”では、数に対する著者の想いが決して数学的ではなく、むしろ哲学的に語られていて面白い。
だが本当に興味を抱かせるのは言葉(言霊)と数(数霊)の関係性であり、その2の“神と41”、その3の“光と81”ではその面白さに引き込まれてしまう。そして、なぜ“9方陣”の中心に「41」があるのか。
これが不思議で、身体の中心である“へそ”も、日本人にとっての主食である“米”も、そしてすべての中心である“神”も、言葉を数に置き換えるとどれもが「41」になり、さらには誰しもが持ち得る“才能”までも「41」だ。著者曰く「その才能こそが一人一人に宿った神の魅力である」のだと。
また、9方陣における最大の数「81」を“9×9の理”、つまり“九九理(ククリ)”と呼び、「81」の神秘さを説いているが、日本人なら絶対に知っておくべき知識である。
その4“イザナミと117”やその5“火と水と”では、人々が生活の中で目にする数(数霊)に対してどのように触れ合い、何を学ぶべきかが示されていて、数霊の奥深さは感動的でさえある。
その6“御中主、満ち足りて”、その8“名古屋と52”、その10“富士と88”では一部がフィクションになっており、数霊がふんだんに散りばめられているので興味が尽きず、最後まで飽きさせないよう構成されている。
というわけで、古来より日本に連綿と受け継がれてきた文化・風習や風土に根付いた生活習慣に始まり、現代における世界情勢までをも判りやすく数霊と言霊にて解説。
これまでは理解し難かった数霊を世に広めるきっかけとなった名著であり、深田ワールドの入門書である。