数霊文庫[5]『数霊 臨界点(りんかいてん)』

数霊 臨界点(りんかいてん)


運命は変わる、変えられる。
若い二人の決意と覚悟が神々を動かした

    今日の話題社 四六判 本文357ページ 1600円+税


あらすじ

京都は鞍馬山で運命的な出逢いによって結ばれた健太と言納。二人が名古屋市内のあるお寺で円空仏を拝観していたときのこと、アメリカ人の青年が二人に声を掛けてきたのだが、それがロバートだった。ロバートはかつてCIA(中央情報局)に在籍していたが、現在はアメリカを離れてヨーロッパで活動をしている謎の青年だ。
ロバートも円空仏に興味があるらしく、その後も二人はロバートを連れて美濃地方の円空仏を巡るのだが、のちに健太と親しい友人のジャーナリストが絶体絶命のピンチに陥り、それを救ったのは…………………

生前の円空は白山信仰とも縁が深かったせいか、健太と言納も古き白山の神々に導かれて奥美濃の白山中居神社や福井県勝山市の平泉寺白山神社を訪ねることになった。
白山中居神社では時空を超えた映像が言納の脳裏に映し出され、なんとそこには瀬織津姫の若き日の姿が。
また平泉寺白山神社で二人は九頭龍から予想外の手荒い歓迎を受ける。

そんな二人だが、健太のある行動を誤解して傷付いてしまった言納は四国へ向かう。一人でお遍路さんの真似事をしつつ、最終的に向かったのは剣山だったが、言納は途中で道に迷ってしまい、さらに雨が降りだした。疲れもピークに達し、意識が朦朧とする言納の前に現れたのは藤色の玉だった。そして言納は意識を失った。
一方、健太は名古屋にいつつも言納の危機を察していた。そして言納を救うために向かったのは奈良県の吉野山であり、櫻本坊で役行者と対峙することになった。

その後もニギハヤヒ尊と瀬織津姫を想い、舞台は十津川の玉置神社から仙台の青麻神社へ。青麻神社では閉ざされていた瀬織津姫の封印がついに解かれ、仙台上空には金龍が舞い上がり四国の剣山へと向かう。

諏訪大社の前宮、戸隠神社の奥社など日本各地を駆け巡っていた二人は、いよいよ長野県の木曽御嶽山へ。
御嶽山七合目の田の原では彦星のニギハヤヒ尊と織姫の瀬織津姫のための祭りが盛大におこなわれ、クライマックスでは夜の天の川に虹が架かる。
そして御嶽山山頂の神(国常立尊か?)からはこのようなメッセージが届いた。

『祭壇のみが祈りの場
人よ思うておらるるが
いずこに居りても祈りの場
一歩一歩の歩みさえ
祈りとなりておることを
知りてお暮らしくだされよ
心に発する思いのすべて
清き祈りとなすように
日々精進を願いたし』

“祈り”とは、祈るという行為でだけではなく、“意乗り”、つまり意に乗った生き方そのものも“祈り”であるとのメッセージだ。深い。
“意”というのは心の奥底からの想いであったり、あるいは玉し霊の本願であったり、そんな自分自身の意に乗った生き方をすれば、一歩一歩の歩みが“祈り”になっているのだと。深すぎる。