人体内の放射性物質

前回の質問は、
「人の体内に存在する放射性物質は、体重60㎏の人を基準に考えると、どれぐらいの数があるでしょうか?
カリウム40、炭素14、ポロニウム210、セシウム137、トリチウム(三重水素)などの合計で」
でしたね。

むっちゃくちゃの数が体内にあって、ビックリするかも。

まずはポロニウム210からまいりましょうか。
このポロニウム210はロシア政府が、彼らにとって都合の悪い政敵やジャーナリストを抹殺する際に使用する放射性物質です。

イギリスへ亡命した元FSB(旧KGB)中佐のアレクサンドル・リトビネンコ氏は、このポロニウム210にて殺害されました。

そんなポロニウム210も体内にはたくさんあって、原子の数としては約210億個。

鉛210もほぼ同じ210億個が体内にあるようですが、ポロニウム210とか鉛210の「210」とは、原子核を構成する陽子と中性子の合計で、これを質量数と呼びます。

ポロニウムは原子番号が84番なので、陽子の数は84個。
ということは、210個のうち84個が陽子で残りの126個が中性子ということになります。

鉛は原子番号が82番なので、陽子の数は82個で、残りの128個が中性子になり、合計が210個。
なので鉛210です。

同じ鉛でも、中性子の数が124個の場合、質量数は陽子の82個とあわせて206個ですので、鉛206になります。
同じ原子でも質量数が違うものを同位体、またはアイソトープと呼びます。

ウランは原子番号が92番ですので、ウラン235もウラン238も陽子は92個ですが、中性子の数が違う同位体(アイソトープ)です。

次に、福島で問題になっているセシウム137(陽子55、中性子82)は少ない人で270億個。多い人だと820億個だそうです。

同じく福島での流出が止まらないトリチウムは280億個。

トリチウムは水素です。
水素の原子核は陽子が1個だけで、唯一中性子を持たない原子なんですが、陽子に中性子が1個くっついた“重水素”なるものがわずかにあり、海水1トン中に33グラムずつ含まれています。
核融合発電はこの重水素を燃料に使います。

で、重水素の原子核にもう1個中性子がくっついた状態のものが“三重水素”、トリチウムです。

トリチウムの原子核では、中性子の1個が陽子に変化してヘリウム3になるんですが、それをβ(ベータ)崩壊と呼びます。

正確にはβマイナス崩壊と申しまして、中性子が陽子に変わる際に電子と反ニュートリノを放出するんですが、その電子が放射線であるβ線なんです。

このあたりまでは大した数じゃないんですが、次は炭素14です。
年代測定の際に調べるのが炭素14でして、体内には約650兆個。650兆個ですよ。

けど驚くのはまだ早い。
バナナなどに含まれるカリウム40は2垓3000京個。
230000000000000000000個っす!

でもってルビジウム87なんてその約5倍の11垓個。
これは1億×1億×11万個のこと。

ということで、体内の放射性物質の数は、体重60㎏の人で13垓3000京個以上で、それらが毎秒毎秒7000個以上放射性崩壊してるので、体内では毎秒毎秒7000個以上のβ線やガンマ線が………7000ベクレル以上………発生しているんです。

7000ベクレルということは、1日にすると6億個以上の放射性崩壊が体内で起きていることになり、知っておくと楽ですよ、何かと。
東電のウソに、いちいち不安をかきたてられずにすむので。

問題
1円玉(1グラムの物質)をすべて電気エネルギーに変換すると、平均的一般家庭の使用電力としては、何日分の電力になるでしょうか?

変換にはいっさいのロスがなく、1グラムの物質が100%すべて電気エネルギーに変換できたと考えての話です。

μニュートリノ418