ハナモモ(後編)
白馬村へ来て最初の春、赤いハナモモはボケの花だと思ってました。ボケの花はもう少し濃い赤だし、花びらも梅とそっくりだから近くで見ればすぐに判るのに、ボクは勝手に白馬のボケは明るい。明るくボケてるんだ、偉いなぁーって誉めてました。けど、ハナモモでした。
ボケにも赤・白・ピンクが混じり合った“咲き分け”という種があって山あいの村ではよく見かけますが、白馬では圧倒的にハナモモが村を制圧してます。
春がすみのアルプスを背景にして映える赤いハナモモ(写真 1)。
これも赤だけでなく白やピンクもあるんですけど、ハナモモ種で竹ぼうきを逆さに立てたような姿のものがあり、テルテモモ(照手桃)だそうです。ほうき性照手桃とかほうきモモとも呼ばれていて、そっくりなんです、竹ぼうきに。
その竹ぼうきハナモモの枝がなんらかの理由で隣りの枝と絡み合い、絵画の額縁みたいになったのがこれです。毎年この額縁ハナモモが咲くのを楽しみにしていて、その年によって額縁のデザインが変わるので飽きません。はめ込まれた絵画は基本的に同じ景色だけど空の碧さや雲のにぎわいで雰囲気が変わり、この日の展示作品はこれでした(写真 2)。
本来はこのように竹ぼうきを逆さにした姿なんですよとのサンプルを探してたら、何ともツラそうなテルテモモがありました。実は昨年からその存在は知っていましたけど。
昨シーズンのドカ雪のせいで枝に積もった雪の重みに耐えられず全体が湾曲してしまったほうきモモです。
こうなる前の姿を知ってるだけに苦しさを感じてしまいますが、それでも力強く咲いてるその姿に心から祝福いたします(写真 3)。
ハナモモの季節に気付いたのが、どこの道を歩いていても視界にハナモモがあるということ。アスファルトの通学路であっても、軽トラしか通らないような農道でもです。
すぐ周囲にハナモモがなくたって、たいていは向かってる先に白やピンクに咲き誇る姿が目に入ってきます。
そんな写真を撮りたくて意図的に道を中心にした構図にしてみたら何を意図した写真か判らなくなってしまったので、ハナモモがある程度は目立つように道を脇にずらして撮り直しました。
これはほんのごく一部だけなんですけど、ハナモモの季節はこんな景色を見ながらハチと散歩してます(写真 4・5・6)。
それで、遠くに咲いてるハナモモへ近付いて行くのにも楽しみがあり、なかなかのアート作品が見つかることもあるんです。
これを見てください。賑やかにお祭りしてますでしょ、この子たち。カーニバルで大盛り上がりって感じです。
白、薄ピンク、濃ピンク、白×薄ピンク、白×濃ピンク、白にピンクのまだら模様なんかもあったりして、個性を重視した多様性社会のお手本のようです。見方を変えれば学級崩壊みたいですけど。みんなバッラバラで。
このカーニバルを狩野派の絵師が描いたら破門になるかもしれません。なんじゃこりゃ、って。
そして最高傑作たるこの一輪、もはや現代アートそのものです。こんなのは宅配ピザのハーフ&ハーフ以外では人造人間キカイダーか、マジンガーZに出てくるアシュラ男爵しか見たことがない。
どうしてこうなるんだろう?と不思議なんですけど、実はちょくちょく見かけます。
多様性社会を実現したハナモモの枝と、キカイダーかアシュラ男爵のようなアートな一輪(写真 7・8)。
というわけで前編と後編に分けてお届けしたハナモモはこれでおしまいになります。
ハナモモが散り出したころヤマツツジが咲き始めていました。モクレンは真っ盛りです。
アヤメ(カキツバタかも?)、ヤマフジ、タチアオイも間もなく村を賑わせてくれるので、ハチとの撮影散歩はまだまだ続きそうです。ただし、熊さんもお散歩を開始してるので役場の農政課から出没メールが来るようになりました。一緒に散歩できたら楽しいのに。
ゴールデンウイーク終盤の5月5日、この春で一番ぐらいの完全快晴に恵まれました。
ハナモモは散ってしまってますが吊り橋へ向かう路地をハチと歩いていたら民家の玄関脇にキラリーンと赤く光るツツジが目に留まりました。ヤマツツジではなくレンゲツツジだと思いますが、畑仕事の準備をしていたそのお宅のおじちゃんに許可をもらい、玄関前まで立ち入って撮しました。
お見事ですね、あっぱれ(写真 9)。









