日々是白馬村 part 70

ハナモモ(前編)
桜が散り始めると、村は一年でもっとも鮮やかな日々が訪れます。なので桜の終わりは寂しさよりワクワク感が勝り、いよいよハナモモの季節がやってきました。
長野県でハナモモといえば阿智村で、それはそれは圧巻です。白馬村のハナモモは阿智村のようなハナモモ街道にはなってないですけど、そこら中に点在しているのでどこにいても視界に飛び込んできます。
以前にも書きましたが、白馬村へ来て嬉しかったのはヤマザクラなどが多いので桜の花にちゃんと色があること。けどハナモモときたら真っ赤や真っ白、真っピンク。白とピンクのミックス・枝垂れ・竹ぼうき。なんでもありでまぁ賑やかなこと。
一番よく目にするのが白とピンク系が混ざり合った源平ハナモモでしょうか。
よく見ると、白・薄ピンク・ピンク・白と薄ピンクのミックスが混在していて、ソフトクリームのバニラ・サクラ・ストロベリー・バニラとサクラのミックスみたいです。どれにしましょう(写真 1)。

これも源平ハナモモの部類に入ると思うんですが、ぱっと見はほとんど白い花ばかりなんだけど少しだけピンクが混じっていて、何だかとても清楚な感じがします。初々しいというのか穢れを知らないというのか。なので怪しいジジイはあまり近寄ってはいけないと貼り紙がしてありました(写真 2・3 )。

花がピンクだけの木は文句なしでピンクしてます。清楚な白から一転、昔はジュリアナ東京のお立ち台で踊ってたっぽいピンクです。この真っピンクには少しも翳りがなく、自信に満ち溢れた美貌を世にアピールしているので、こちらとしてはちょっと照れくさくなってしまいます。
空の碧さや若草の緑との対比がまばゆい真っピンクのハナモモ。背後は残雪の五竜岳(写真 4)。

こちらのピンクも真っピンクなんですけど、花の姿がハナモモとは違い別の種かと思っていました。
ハナモモの花びらは八重桜に似ています。けどこの花はレンゲのような姿にも見えるし菊っぽくもあるけど、レンゲや菊のわけがないし………………とそこへやって来た観光客のご夫妻が花に詳しいらしく、キクモモの名前を口にしていたのでそれと知りました。
キクモモ(菊桃)ですって。菊っぽいとの見立ては当たってました。
姫川沿いに咲く鮮やかで可憐なキクモモ(写真 5)。

ピンクといえばこんなのもありました。これは遅咲きの桜なのかもしれません。
大出(おおいで)の吊り橋近くを4月18日に通ったとき、手前の枝はまだ咲き始めだったんですが綺麗な淡いピンクだったので写真を撮っておきました。
3日後の21日にはその枝も満開になっていて、花の色が確実に濃く派手派手しくなっているんです。いったん咲き始めた花の色がこれほど変わるものなのか。
見比べていただくとその違いは一目瞭然で、ウブだった北関東の中学生が高校生になり、夏休みに渋谷通いをしてたら2学期には奇抜いお姉ちゃんになっちゃってたみたいな(写真 6・7)。

これもハナモモのつもりで撮っていたんですが、帰ってから写真を確認したら桜でした。他の桜はほとんどが散ってしまった後だったのでてっきりハナモモ種かと思い込んでいて、ちゃんと見ればすぐ判るのに五竜岳へ意識が向いてたので気が付きませんでした。
翌日も晴れたのでもう一度見に行ったら、その花が咲いてるお宅の庭にお婆ちゃんがいたので聞いてみたところ、やっぱり桜でしたが名前は思い出せないとのこと。
この桜は淡い薄ピンクの花びらと中心部の赤紫っぽい色の組み合わせが気品に満ちていて、他に見たことがないほどの上品さを醸し出していたのでどうしても名前が知りたくなり、日本中の桜が載ってる図鑑をネットで注文しました。
気品あふれる桜と凛々しい五竜岳(写真 8)。

桜が咲き始めてからの2週間、桜・梅・ハナモモを追いかけて撮った写真は2000枚を超えました。
曇りや雨の日を除き、アルプスが見られる日は1日に2度3度とハチを連れての撮影散歩に。一度の散歩で撮る写真は平均して100~150枚。同じ景色でも少しずつ角度を変えたりズームにしたりしてるとそれぐらい撮ってしまうんです。
帰るとすぐに写真を確認し、納得いかないものは次々と消去するため、毎回残るのは3%程度です。
この2週間の残っている写真を数えてみたら57枚しかなかっので2000枚の3%弱。やっぱりね。最悪だった日は300枚撮って消去しなかったのが2枚だけ。あの日は悲しかった。
こんなムダなことになってる最大の理由としては、望んだ色が出ないこと。ガラケーでは限界です。去年も同じようなことを言ってた気がしますけど。
とにかく、空の色を優先したアングルにすると地表が暗くなり、地表が明るくなるアングルだと空が白けてだらしない写真になってしまって、もうどうしようもない。

アマチュアだけど写真の腕前はかなりの人が日々是白馬村を見てくれてたと知り、あの写真はすべてガラケーで撮ってるんですよと伝えたら、
「信じられん」
「うっそっだっろっ」
って。放送局占拠で“あやかし”に立ち向かう櫻井翔か。
夏はアルプスが雲に隠れっぱなしなのでほとんど写真は撮らないだろうから、次の冬までにスマホにするかを考えてみます。けど今は軽トラも欲しいからなぁ。軽トラに長靴姿じゃないと村のジジイっぽくなれないので。

あちこち連れ回されたあげく、やっと帰って来たのにアパートの駐車場脇に咲くハナモモの下で写真を撮られてうんざりしているであろうハチ(写真 9)。