日々是白馬村は今回をもちまして最終回とさせていただきます。
part “81” で終了になりますが意図して数霊的に合わせたわけではありません。本当にたまたまで、2023年秋の始まりから続けてきた白馬旅行は1174泊1175日で終わることになりました。
移住して来た当初は活断層(糸魚川ー静岡構造線断層帯)の上に家を建てようと意気込んでましたし、それが無理でも最低5~6年は村で暮らすつもりだったので3年3ヵ月で他へ移ることになるとは予想外で、ついでに愛車まで別れることになってしまい、めまぐるしい秋になりました。
車についての経緯は後ほど述べますが、冬の野平(のだいら)地区で撮ったのが唯一残っている一枚(写真 1)。
白馬村での暮らしはハチがボクから離れられなくなってしまったのでほとんど動けずじまい。北アルプスの麓で暮らしながら山登りができませんでした。スキーだってすぐ目の前がスキー場だらけなのに一度も滑らなかったし。
安曇野の美術館めぐりだとか、糸魚川の海岸で翡翠探しとかへも行けず、戸隠の仁王門屋さんへだって最初の年に2度寄っただけでした。
けど動けなかったからこそ村のそこら中を毎日何度もハチと散歩して、地元のおじちゃんおばちゃんとはたくさん立ち話ができたので村の事情もよく判りました。
それと、親しくお付き合いしてくださった人はほとんどがハチがらみなので、こちらがハチの世話を一方的にしていただけではなく、ハチもボクに新しい縁を世話してくれてたのかもしれません。
もしハチが白馬村で生涯を終えてたとしたらボクはしばらく白馬村を離れることができなかったと思います。たくさんの思い出が記憶から消えてしまいそうで。ですからハチを連れて次の土地へ移れるのはありがたいことです。
ちなみにハチはお別れ会までしてもらいました。ボクの送別会にハチを連れて行ったのではなく、ハチのお別れ会にボクが保護者として参加したんです。
雪国で初めての冬(2024年)を楽しそうに散歩してくれてるハチ(写真 2・3・4)。
車の話なんですが、白馬村から出て行くのと同時に愛車も手放すことになりました。これまた淋しい限りですけど仕方ない。
故障ヶ所が2ヵ所か3ヵ所なら機嫌を損ねないように誤魔化しながら乗り続けるんですけど、それが6ヵ所まで増えると乗るのが怖い。エンジンは絶好調なんですけど。
最大の問題点は雨漏りで、冬場はマイナス15度まで冷え込む白馬村では漏れて溜まった水が車内でガチガチに凍ってしまうので始末が悪いのなんのって。フォードのフォーカスは“あるある”なんですって、大量の雨漏り。
まだ12万㎞しか走ってないのに残念です。20万㎞は乗りたかったのに。
このまま白馬村で暮らすなら軽トラにしてもよかったんですけど城下町へ移るのでそれは諦め、日々是白馬村の最終回に合わせて次の車のナンバーは“81”にしました。
日々是白馬村を終えるにあたりこれまでの写真を振り返ってみると、印象深いものは圧倒的に最初の年のものが多く、秋の空の突き抜け感は素晴らしかったです。
天高く馬肥ゆる秋と申しますが、本当に天が高く感じるんです。白馬村へ越して間もない10月17日、還暦を迎えた日の秋晴れもそうでした(写真 5)。
雪景色も初めての冬(2024年1~2月)に撮ったものは今でも新鮮に感じてます。
まずはここ。白馬村へ来た理由のひとつは大出(おおいで)の吊り橋付近をハチと散歩したかったからで、1174泊の旅でいったい何百回ここへ来たことでしょう。
ただし冬場は除雪されてないため、雪に埋もれながらの散歩になりますけど。
夜明けどき、大出公園から見た薄オレンジ色に染まる白馬三山(写真 6)。
同じく雪景色の白馬連峰ですが、この日の夜明けはアルプスが薄ピンク色にお化粧してました。
荒々しい五竜岳でも淡いピンク色になると妙に艶やかで色っぽい(写真 7)。
完全快晴に恵まれた日にしか見られないであろう青木湖(大町市)の湖面に映る白馬岳と小蓮華山(写真 8)。
山が姿を見せてくれていれば毎日必ず見上げていたのに、冬を3シーズン過ごして金色に輝いた(ように見えた)のはこの1~2分の一度限りでした。
まばゆい黄金の五竜岳(写真 9)。
というわけで、日々是白馬村はけれで終わりにいたします。
日本近代登山の父と呼ばれるイギリスの宣教師であり登山家のウォルター・ウェストン氏は、長く滞在した日本を離れることが決まり、上高地を訪れるのもこれが最後というときのエピソードです。
当時、上高地への行き帰りは徳本(とくごう)峠を徒歩で越えなければならず、とうとう上高地を後にして徳本峠へと向かうことになったウェストン氏。これで本当に上高地や穂高連峰とはお別れです。
峠へ着くまでは振り返ると木々の隙間から愛する北アルプスの峰々が視界に入ってきますが、それも峠までのこと。そこを越えるともう愛しき姿は見られません。
峠へ着いたウェストン氏は静かに後ろを振り返り、もう二度と目にすることのない美しき北アルプス穂高連峰をしみじみと眺めながら涙を流したそうです。
ボクも白馬村を出るそのときには北アルプス白馬連峰の姿に涙を流すのでしょうか。だったらむしろ当日は雲に隠れててくれてた方がいいかもしれない。なんてことを考えてたんですが、あることに思い至った瞬間に拍子抜けしてしまいました。
引っ越し先の高遠から白馬村までは2時間で来られるんでした。
また来ます。
それに、高遠(を含む伊那谷)は中央アルプスと南アルプスに挟まれたアルプスの町です。西には夜明けどき朝陽に照らされる中央アルプスが聳え、東には夕陽が全容を赤く染める南アルプスを望むことができるので、それもまた楽しみです。
日々是白馬村『完』
次回からタイトルを「信州悠久休暇」として信州話題をお届けいたします。









